年末調整における年金収入取扱いの注意点
本日は、年末調整における注意点の第3回目です。第1回で年金受給者についての取り扱いについて触れたところ、質問を頂きましたので、今回は年金と所得について考えてみることにします。
年金と一言にいっても、その種類は様々です。大きくは国の社会保障制度としての公的年金と、それを補完する役割である私的年金とがあり、更には老齢・障害など支給目的によって細かく分類がなされています。年末調整を行なうにあたり、年金を「所得」と考えた場合には、この支給目的により、その取り扱いが異なってきます。
通常、もっとも受給者が多い老齢年金については、第1回で取り上げている公的年金控除を利用して所得額を算出することになります。ところが、障害年金(※)および一定の遺族が受け取ることのできる遺族年金(※)については非課税扱いとされ、その受給額に関わらず、所得として考えません。従って、扶養親族等が年金受給者である場合には年金の種類についても注意する必要があります。
なお、年末調整とは異なりますが、健康保険における扶養については、障害年金および遺族年金について収入として取り扱います。このように税金と社会保険とを切り分けて考える必要があるため、注意が必要です。
※これらは公的年金についての記述であり、私的年金については、取り扱いが異なります。
(宮武貴美)