公的年金等受給者を扶養家族に持つ場合の年末調整

 現在、多くの企業においては年末調整の真っ盛りではないかと思います。そこで今回から数回、年末調整における注意点を取り上げていきます。本日、第1回目は年金受給者の所得について取り上げることとしましょう。


 年金受給者の収入は、所得の区分では「雑所得」として区別され、その所得額は、年金の収入金額から「公的年金等控除額」を差し引いたと額となります。平成17年より、この「公的年金等控除額」が変更になっています。


 税法上の扶養と認められる扶養親族等とは所得者と生計を一にする親族で、合計所得金額が38万円以下の人です。公的年金等受給者についても合計所得金額がこの38万円以下であれば扶養親族として取り扱うことができます。平成17年からは、この所得金額を考える場合に収入金額から差し引くことのできる控除金額が変更になりました。


 注意すべきポイントは、65歳以上の人の年金額です。65歳以上の人の公的年金等控除額は平成16年では140万円まで認められていましたが、平成17年からはこの金額が120万円に引き下げられています。これにより、65歳以上で年金収入のみの人を考えた場合、平成16年では178万円以下が扶養親族として取り扱われていたものが、平成17年からは158万円以下に下がっています。


 他の扶養親族に比較すると、該当者となる65歳以上の扶養親族はさほど多くないということもあり、国税庁発行の「年末調整のしかた」などでは大きく取り上げられていませんが、現在の年金制度を考えると、65歳未満と65歳以上とで年金額に変更がある年齢でもあり注意が必要なことは言うまでもありません。また、これと並行して、年金額については物価スライドによりその金額が毎年変更されています。昨年と同額という取り扱いではなく、正確に申告してもらうことが重要です。


 今回は、年末調整に主眼をおき、解説しました。公的年金等控除額についての詳細は国税庁のタックスアンサーホームページに掲載されていますのでこちらを参照してください。
http://www.taxanswer.nta.go.jp/1600.htm


(宮武貴美)