適年制度の移行先 中小企業は中退共、大企業はDB・DCの方向が明確に

適年制度の移行先 中小企業は中退共、大企業はDB・DCの方向 先日、厚生労働省より「平成20年就労条件総合調査結果の概況」が発表されました。この調査項目の中に、「適格退職年金制度の見直し」という内容がありますので、今日はこの結果について取り上げましょう。


 適格退職年金制度(以下、「適年制度」)は平成14年4月の確定給付企業年金法の施行により廃止となり、平成24年3月までの移行期限が設定され、原則的には制度を廃止するか、他の企業年金制度等に資産移換することが求められています。これまでも当ブログでは中退共が発表した資料をブログ記事「平成19年度に適年制度を解約した企業の38.5%が中退共を選択」として取り上げていますが、今回の調査はより具体的な移換状況を示す興味深い内容になっています。


 適年制度が廃止された平成14年4月時点で適格退職年金制度があった企業数割合は、35.8%となっており、うち平成20年1月1日までに何らかの見直しを行った企業数割合は42.7%となっています。その見直し内容(複数回答)をみると、企業規模計では、「中小企業退職金共済制度へ移行」が17.2%ともっとも高く、次いで「確定拠出年金(企業型)制度へ移行」(10.1%)、「確定給付企業年金制度(CBPを含む)へ移行」(7.9%)となっています(グラフはクリックして拡大)。これを企業規模別で見ると、より傾向が明確に現れてきます。従業員規模100人未満の企業においては、中退共が24.3%、確定拠出年金が7.8%、確定給付企業年金が4.5%、更には適年制度廃止が7.1%となっているのに対し、1,000人以上規模の企業では確定給付企業年金が32.2%。確定拠出年金が26.7%となっています。


 このように適年制度の移換先としては中小企業では中退共、大企業では確定給付企業年金および確定拠出年金が圧倒的に多いという実態が明らかとなりました。ある意味、当然の結果とも言えますが、今回、それが統計として裏付けられました。もっとも気になるのは、平成14年4月時点で適格退職年金制度があった企業のうち、未だ半数以上がこの見直しを行っていないということでしょう。廃止期限まで実質あと3年となっていますので、早めの対応が求められます。



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2008年7月2日「平成19年度に適年制度を解約した企業の38.5%が中退共を選択」
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参考リンク
厚生労働省「平成20年就労条件総合調査結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/08/index.html


(大津章敬)


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