[ワンポイント講座]36協定を自動更新にする際の留意点

 来春施行される改正労働基準法では、36協定に関する改正が行われますが、過重労働が労務管理における大きな問題となる中、36協定の重要性は今後も高まっていくことが予想されます。そこで本日のワンポイント講座では36協定の届出に関する事項について取り上げたいと思います。従業員に法定労働時間を超えて残業をさせる場合には、就業規則に時間外労働をさせる旨の規定を行った上で、36協定の届出が必要になります。この36協定については、1年間の有効期間を定めて届出をしている企業がほとんどですが、手続き的に煩雑であるため、自動更新にしたいという人事労務担当者の声をよく耳にします。そもそも36協定を自動更新とすることができるのか、そしてできる場合にはどのようにすればよいのでしょうか。36協定で定めなければならない項目は以下の5つになります。
時間外労働させる必要のある具体的な事由
時間外労働させる必要のある業務の種類
時間外労働させる必要のある労働者の数
延長時間(1日と1日を超える3ヶ月以内の期間および1年間)・労働させる休日
有効期間


 このように協定の締結事項として有効期間を定めることになっていますが、有効期間の長さについて制限条項は置かれていません。しかし、監督署の窓口において「36協定の有効期間は最長でも1年間とすることが望ましい」とする指導方針があることから、実際にはほとんどの企業では36協定を1年ごとに締結しています。それでは、この労使協定を自動更新とすることができるのでしょうか?


 労働基準法施行規則第17条2項では、36協定を更新する場合、使用者は更新する旨を所轄の労働基準監督署長に届け出ることによって足りるとしています。その上で具体的な取り扱いについては通達(昭和29年6月29日 基発第355号)が出されており、 「36協定の有効期間について自動更新の定めがなされている場合には、更新の届け出は、当該協定の更新について、労使双方から異議の申出がなかった事実を証明する書類を届け出ればよい」とされています。このように手続きとしては、36協定とは別の届け出を毎年提出しなければならず、自動更新の条項を設けていても別になんらかの届出が必ず必要とされます。ちなみに異議の申し出がなかったことを証明する届出については、特に様式は定められておりませんので、労使ともに異議なく、自動更新をした旨を記して署名をすればよいということになります。


 しかし本来、時間外労働については、臨時的必要に応じて必要最小限に留めることが求められていますので、自動更新とするのではなく、事業場ごとに毎年見直しを行い、実態に合わせて設定することが望まれます。



関連blog記事
2009年1月30日「長時間労働の抑制のための自主点検表」ダウンロード開始
https://roumu.com
/archives/51493699.html


参考リンク
神奈川労働局「時間外労働・休日労働に関する協定届が変わりました」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/36kyotei.htm


(福間みゆき)


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