育児時短勤務中に解雇等の理由で退職する際に注意が必要な雇用保険の取扱い
2012年7月24日のブログ記事「3割を超える女性正社員の育児短時間金制度利用」で取り上げた通り、近年、育児短時間勤務を選択し、出産・育児前に勤務していた事業所で継続勤務する従業員が増加しています。ただし、実際には、育児短時間勤務の制度を利用しても継続勤務することが難しく退職を選択する従業員もいるようです。
このように育児短時間勤務制度を利用しているときに、退職すると雇用保険の基本手当(失業給付)については、勤務時間が短くなり、給与額も低下している期間で計算されるため、結果的に日額も通常時よりも低額となりがちです。自己都合での退職については、この低額となった日額で基本手当が支給されることになりますが、事業所の倒産や解雇等により離職した受給資格者については特例が設けられています。今回はその取扱いについて解説しましょう。
この制度は勤務時間短縮措置等適用時の賃金日額算定の特例と言い、対象者の離職時に算定される賃金日額が、短縮措置等開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額に比べて低い場合は、短縮措置等開始時に離職したとみなした場合に算定される賃金日額で基本手当の日額を算定するものです。対象者になる条件としては、いくつかありますが、もっとも重要なポイントは特定理由離職者または特定受給資格者となる理由で離職した人であるということです。対象者が離職した場合には、離職票とともに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書」を届け出ることになります。届出後については、離職票とともに賃金証明票が発行されるため、離職者がハローワークに提出することになります。その結果、両方で算定された賃金日額の高い方で基本手当日額が決定されることになります。
今後、更に育児短時間勤務制度を利用する従業員も増えてくると想像されます。この特例対象となる人は限られるかもしれませんが、該当する場合には漏らさずに届出を行うことが求められます。なお、この特例は、育児短時間勤務のほかに介護短時間勤務についても対象となっています。
関連blog記事
2012年7月24日「3割を超える女性正社員の育児短時間金制度利用」
https://roumu.com
/archives/51943453.html
参考リンク
厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(平成25年6月1日以降)」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/toriatsukai_youryou.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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