発表された労働局による新たな過重労働対策 「かとく」担当官を全労働局に配置
各種報道にもありましたが、2016年4月1日に厚生労働省で「第3回長時間労働削減推進本部」の会合が開催され、今後の長時間労働対策が発表されました。本日はその資料を用い、厚生労働省としての今後の対策について取り上げます。
今回発表された対策は以下のとおりとなります。
月残業100時間超から80時間超へ重点監督対象を拡大
・月80時間超の事業場も対象(年間約2万事業場)とし、自主点検を求め、確認できたすべての事業場に監督を実施。
監督指導・捜査体制の強化・全国展開
・本省に対策班を設けて広域捜査の指導調整
・すべての労働局に、長時間労働に関する監督指導等を専門に担当する「過重労働特別監督監理官」(仮称)を各1名配置する。
取引の在り方や業界慣行に踏み込んだ取組等
・長時間労働の原因となり得る、「手待ち時間の発生」や「短納期発注」などの取引環境・条件の改善に向けた取組を、業界や関係省庁( 国土交通省や、中小企業庁・公正取引委員会)と連携して行う。
その他
・リーディングカンパニーでの先進的事例の周知・広報の実施、更なる働きかけ
・過重労働等への相談方法の周知を行い、相談を確実に実施する。
なんと言ってもの影響は大きいでしょう。は東京労働局・大阪労働局に設置された過重労働撲滅特別対策班(かとく)の機能を全都道府県に拡大するというもので、その職務は以下のとおりとしています。
・問題業種に係る重点監督の総括(企画・立案・実施)
・月80時間超の残業のある事業場に対する全数監督の総括
・本社監督の総括(問題企業の把握分析・実施・調整・指導)
・夜間臨検の実施・調整
・長時間・過重労働に係る司法処理事案の監理等
かとくは、社会的に影響のある企業を摘発することで、広く過重労働防止を訴えていくという方針を持っているようですので、各地域の有力企業が狙われ、マスコミを賑わせることになるかも知れません。
過重労働対策は、健康障害防止という従来のフレームに加え、最近では女性活躍という点でも重要視されています。更には人材採用の点でも不可欠な取り組みとなっていますので、着実な実施が望まれます。
関連blog記事
2015年7月6日「ABCマートを書類送検した「かとく」過重労働撲滅特別対策班とは」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/44638154.html
2016年2月26日「過重労働解消キャンペーンによる監督署調査 対象事業場の73.9%が法令違反」
https://roumu.com
/archives/52097948.html
参考リンク
厚生労働省「第3回長時間労働削減推進本部 資料(2016年4月1日)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000116267.html
(大津章敬)
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