日系企業における昇給管理の課題(3)

<ベースアップは企業全体の賃金水準>
 よく、ベアも昇給も一緒にされる企業がありますが、賃金管理上、それは間違いです。では、昇給予算が限られている場合どうするか?私はベアでたっぷりと予算をとられることを勧めています。と言うのは、ベアは「従業員全体の賃金水準の競争力」を表します。いくら個々の従業員の賃金が高くても、競争力にはあまり影響しません。全体水準の高低によって従業員の確保、あるいは流出の歯止めが行われます。ですからこのベースアップは毎年の物価上昇に合わせ、行っていくべきなのです。

 このように、中国の消費者物価、最低賃金の引き上げは今後も数年、同じ水準で行われていくものと予想されます。単に賃上げの水準に惑わされるのではなく、限りある原資をどのように配分させながら企業の人材競争力を高めていくか、その理論が問われているのです。みなさんの会社も今年こそ、中国の景気や経済に応じ、従業員のモチベーション、企業全体の競争力を高めていけるだけの賃金管理に着手されるべきかと思います。~了~(清原学)

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