欠勤者の通勤手当を日割りしてもよいのでしょうか?

 12月も2週目となり、朝の寒さを実感している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
福島照美福島さん
 大熊先生、おはようございます!今朝は本当に寒いですね。まあ、町中クリスマスの雰囲気になっているくらいですから、寒くて当然なのかも知れませんね。
大熊社労士
 そうですね。最近は寒くて空気が澄んでいるのか、出張の際に目にする富士山もきれいですよ。冠雪の具合もよく、最高のシーズンですね。
福島さん
 そうかぁ。寒いといいこともあるんですね。
宮田部長
 福島さん、寒いと熱燗が美味しくて堪らないよ。やっぱ冬は鍋と熱燗、これに尽きる!さてさて、そんな話は置いておいて、今日は大熊先生に確認することがあったんですよ。
大熊社労士
 そうですか。どのような話でしょうか?
宮田部長宮田部長
 通勤手当なんですけどね。欠勤した社員は通勤の費用が掛かっていない訳じゃないですか。だとすれば、欠勤控除の対象にしていいんですよね?
大熊社労士
 これは結論は簡単ですね。賃金規程の定めによります(笑)。福島さん、賃金規程ではどうなっていましたか?
福島さん
 はい、給与計算期間の全日を欠勤した場合には不支給となっています。
宮田部長
 ということは、1日欠勤したとしても通勤手当は控除されず、全額支給されるということか。なんか、違和感あるなぁ。どうしてこんな風になっているんでしょう?
大熊社労士大熊社労士
 そうした取り扱いは他社でも結構多いのですが、その原因は公共交通機関利用者については定期券代相当額を支給していることにあるのではないかと思います。定期券を購入するように指示している訳ですから、1日欠勤したとしても定期券代は変わらない。よって、控除はしないということですね。とはいえ、給与計算期間を全休するような場合に、それでも満額を支給するというのはさすがに不合理ですから、通勤手当を不支給にするということなのでしょう。
宮田部長
 なるほど。乗車しなかったとしても定期券代は返ってこないということですね。でも当社の場合、マイカー通勤者が多いのですが、その場合はガソリン代はかかりませんよね?
大熊社労士
 確かに。そのようなことを想定されるのであれば、マイカー通勤者については通勤距離1kmあたりの支給額とし、毎月の出勤実績に基づき通勤手当を単価×出勤日数で支給するということもありだと思います。
福島さん
 それは給与計算的には少し煩雑になりますが、リーズナブルですよね。
大熊社労士
 そう思います。ただその場合、賃金規程の修正が必要になりますので、お忘れなく!なお、いまはマイカー通勤者の話でしたが、これは公共交通機関利用者でも賃金規程を見直すことで欠勤控除を行うことも可能です。ただ、定期券代というのは、本当の実費と比較するといくらか割引が適用されているはずです。その分で会社にはメリットがあると考え、数日の欠勤程度では減額しないとしておく方が全体としてはよいかも知れませんね。
宮田部長
 なるほど、よくわかりました。社内でも議論してみます!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。本日は通勤手当の取扱についてまとめました。そもそも通勤手当は法定で支給が義務付けられているものではありませんので、社内の就業規則でそのルールを明確にしておくことが重要です。

(大津章敬)