デジタル・ガバメント実行計画閣議決定 国の手続きの9割がオンライン化へ

 2019年12月20日(金)に、デジタル・ガバメント実行計画が閣議決定されました。行政手続のデジタル化、ワンストップサービス等の推進等に関しては以下の方向性が示されています。
(1)デジタル手続法に基づき行政手続のオンライン化を進め、国の手続件数の9割についてオンライン化を実現予定。毎年度計画を改定し対象を拡大。
(2)登記事項証明書(令和2年度以降)、戸籍(令和5年度以降)等について、行政機関間の情報連携の仕組みを整備し、順次、各手続における添付書類の省略を実現。
(3)子育て、介護、引越し、死亡・相続及び企業が行う従業員の社会保険・税に関する手続についてワンストップサービスを推進
(4)法人等に係る行政手続等の利便性向上のための法人デジタルプラットフォーム整備
(5)安全・安心で利便性の高いデジタル社会の基盤であるマイナンバーカードの普及とマイナンバー制度の利活用の促進等

 以下では、この中から「企業が行う従業員の社会保険・税手続ワンストップ化・ワンスオンリー化の推進」についての記述を見ていきましょう。


 企業の生産性向上の観点から、従業員に関する社会保険・税手続をデジタル化・簡便化することが重要である。企業が行う従業員の社会保険・税手続について、従業員のライフイベントに伴う行政手続のワンストップサービスや、企業と行政機関との間でのデータ連携を通じたワンスオンリー化を実現することで、企業の負担を軽減し、生産性向上に寄与するための取組を進める。

 これまで、内閣官房において、関係府省とともに、ワンストップサービスの実現に向けた検討等を行い、2019年(平成31年)4月には、課題の最終整理を取りまとめた。内閣官房及び関係府省は、従業員のライフイベントに伴い企業が行う社会保険・税手続について、マイナポータルの API を活用したオンライン・ワンストップ化を 2020年(令和2年)11月頃から開始し、順次、対象手続を拡大する。また、社会保険労務士の電子署名等が必要な手続についても、2020年度(令和2年度)中に、マイナポータルから行えるようにする。加えて、社会保険・税手続の新たな方法として、金融機関に係る法定調書の提出(事業者提出の全ての法定調書について検討)に関して、クラウドサービス等を活用した企業保有情報の新しい提出方法に係る情報システムの利用を2021年度(令和3年度)以降開始し、事業者の事務作業の負担を軽減する。また、国民・事業者の負担軽減が見込まれるその他の手続についても、2022年度(令和4年度)以降の対象拡大に向けて検討し、2020 年度(令和2年度)中に結論を得る。

 さらに、年金関係をはじめ、行政機関等から事業者への処分通知等について、デジタル化の課題や方策等を検討し、2021年度(令和3年度)以降の順次対応を目指すとともに、活用拡大を検討する。


 一方、「マイナポータルの API 提供によるサービス連携の拡大」という項の中の「法人設立ワンストップ、社会保険・税手続ワンストップにおけるサービス連携」では以下の方針が示されています。


 2019年度(令和元年度)においては、法人設立に関する民間事業者のWebサービスからマイナポータルを介して、法人設立に係る申請等の手続(登記後の手続)をオンラインかつワンストップで行うことができるサービス(法人設立ワンストップサービス)を開始し、併せて、APIを開発、提供する。また、2020年度(令和2年度)においては、企業が行う従業員のライフイベントに伴う社会保険・税手続に係る行政機関等に対する申請等について、企業の人事・給与システムや民間事業者のWeb サービス等からマイナポータルを介し、オンラインかつワンストップで行うことができるサービス(社会保険・税手続ワンストップサービス)を開始できるようにする。さらに、法人設立ワンストップに関し、対象手続を定款認証及び設立登記を含めた手続に拡大する。


 このようにここ数年で社会保険関係のデジタル化が急速に進むこととなります。企業の実務担当者、そして社会保険労務士はこうしたデジタル化の状況を的確に掴みながら、より生産性の高い業務への転換を進めていくことが求められます。

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 詳細および申し込みは以下よりお願いします。
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参考リンク
デジタル・ガバメント実行計画
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20191220/siryou.pdf
デジタル・ガバメント実行計画(令和元年12月20日閣議決定)の概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20191220/gaiyou.pdf
首相官邸「令和元年12月20日(金)定例閣議案件」
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2019/kakugi-2019122001.html

(大津章敬)