技能実習生の失踪問題への対応強化/出入国在留管理庁
外国人技能実習生の失踪については以前から問題となっています。出入国在留管理庁の統計調査によると、2018年においては9,052人の失踪者があり、技能実習生全体に占める割合は2.1%となっており、例年2%前後の失踪者が発生するという状況が続いています。
こうした状況を受け、2019年12月24日、出入国在留管理庁は、「技能実習制度における失踪問題への対応について」と題した案内を出し、技能実習生の失踪対策として、以下の施策を打ち出しました。
<失踪防止に向けた主な施策>
①不適切な監理団体・実習実施者等を制度に関与させないための施策
・失踪者を出した送出機関・監理団体・実習実施者に対し,帰責性等を踏まえて技能実習生の新規受入れを停止
・相手国におけるブローカー対策を促すなど,二国間取決めに基づく対応の強化
②実習中の技能実習生を失踪させないための施策
・失踪技能実習生を雇用した企業名の公表
・特定技能の調査に併せて,技能実習生からも処遇状況(賃金等支払状況や人権侵害の有無)についてヒアリング
③失踪した技能実習生の不法就労を防止する施策
・失踪をさせた企業から失踪先等に係る情報収集の強化
・在留カード番号等を活用した不法就労等の摘発強化
・失踪技能実習生の在留資格取消しの強化
・失踪技能実習生に係る情報の関係省庁との共有
④その他
・失踪・死亡事案発生時の速やかな実地検査等の実施
・制度の厳格化について入管庁から監理団体に対して直接周知
※上記①~④の施策の実施に併せて,技能実習生に対する支援制度の周知徹底も行う。
今回の施策においては、技能実習生の新規受入れ停止や企業名公表などの取扱いも導入されたため、技能実習生を受け入れている企業においては、失踪の発生防止に向けたさらなる対策を講じていくこと、また、他社を失踪した技能実習生を雇わないよう、在留カードの確認を徹底するなど、より一層注意をしていくことが求められるでしょう。
<参考リンク>
出入国在留管理庁「技能実習制度における失踪問題への対応について」
http://www.moj.go.jp/content/001311268.pdf