試用期間の管理はどのように行えばよいのですか?
今日はマスク姿で服部印刷に向かう大熊であった。
大熊社労士
おはようございます。今朝も寒いですね。
服部社長
そうですね。この週末は関西の方で雪が降ったとか。やっと寒くなってきた感じですね。半面、新型肺炎の不安は大きくなっていますが。
大熊社労士
新型肺炎は対策が取られてからまもなく2週間ですから、そろそろ収束の兆しが見えればいいですけどね。あまり意味がないという話もあるようですが、私も一応、マスクをするようにしています。
福島さん
昨夜も横浜のクルーズ船のニュースをテレビで見ましたが、船室に2週間隔離というのは大変ですね。まだ1週間以上あるようですからね。不安でしょうね。
宮田部長
そうだねぇ。2週間以上のクルーズをした上で、いよいよ帰国と思ったらそこからウイルスに汚染されたような環境で更に2週間だからね。高齢者の方も多いようだし、大変だと思う。早く解決すればいいね。
大熊社労士
本当にそう思いますね。さてさて、今日は福島さんからご相談があると聞いていますが。
福島さん
そうそう、そうなんです。当社では試用期間を定めているのですが、他社の運用状況をお聞きしたいと思いまして。
大熊社労士
運用状況ですか?具体的にはどのようなことでしょうか?
福島さん
はい、当社では就業規則において試用期間は入社から3か月間を試用期間としています。
大熊社労士
そうですね。3か月というのは世間でも一番多い設定だと思いますよ。
福島さん
そうなのですね。安心しました。ありがとうございました。特に心配しているのが、その試用期間の管理を特に行っていないことなのです。配属した現場から問題があれば相談がありますので、それが試用期間内であれば、その時点で試用期間を延長してもう少し状況を確認したり、場合によっては試用期間満了をもって契約解除ということもあり得ます。でも、総務側では特に管理を行っていないのです。それで大丈夫なのかなと心配になりまして。
大熊社労士
というと、配属したら特に試用期間の管理は行っていないということですか?
福島さん
そのとおりです。
大熊社労士
そうでしたか。気が付いたら試用期間は終了していたということがあり得るということですよね。それは問題ですね。
福島さん
やっぱり、そうですよね。他社ではどのような管理を行っているのですか?
大熊社労士
現実的な話をすれば、他社でも御社と同様の状況になっていることが多いとは思います。しかし、試用期間を設定している以上はそれをしっかり活用しなければ意味がありません。「問題社員」という言葉はあまり好きではありませんが、ここでは便宜的にその言葉を使います。問題社員の存在は、単にその社員の問題ではなく、組織力を大きく低下させることがより大きな問題です。よって、そうした問題社員を採用面接で見抜くというのがベストですが、現実的にはなかなか難しいものです。
服部社長
そうですね。面接では見抜けない。それが私の考えです。だとすれば、入社後にどのようなリスク管理をするのか。
大熊社労士
そうなのです。その一つが試用期間です。試用期間というのは法的には解約権留保付きの労働契約が締結されているとされる期間です。つまり、職務遂行上の問題があった場合には解約権を行使するというオプションが付いた労働契約なのです。だからといって理由もなく解約権を行使できるということではありませんが、通常の解雇に比べれば問題は少ないということになります。
福島さん
そういうことなのですね。だとすれば、気づいたら3か月が経過していたということではいけませんね。
大熊社労士
そうですね。よって配属したらまず1週間くらいのタイミングで現場から業務状況の報告をさせ、その後も1か月経過後、2カ月経過後などで報告をさせ、問題があるようであれば面談を行い、指導するなどの対応を行っておくことが重要です。
福島さん
そうですね。承知しました。早速、改善してみます。ありがとうございました。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
おはようございます。大熊です。今回は試用期間の運用について取り上げてみました。非常に基本的な事項ですが、試用期間は就業規則や労働契約書に定められているだけで、その管理は行っていないという企業が多いのが実態です。これでは無用なトラブルを防ぐことはできません。4月に新たな社員を迎える会社も多いでしょう。今後は現場と連携しての試用期間の管理を行っていきましょう。
(大津章敬)