休業手当・平均賃金の計算方法を教えてください
新型コロナウイルスが全世界で大流行していることを心配する大熊であった。
大熊社労士
おはようございます!
服部社長
大熊さん、おはようございます。それにしても新型コロナウイルスの問題は収束が見えませんね。毎回毎回、この話ばかりになってしまいます。
宮田部長
オリンピックも延期になってしまいましたしね。ただ、到底無理な状態になっていますし、1年延期でも大丈夫なのかという感じですよね。大きく売上を落としている会社もあるようで心配です。
大熊社労士
そうですね。弊社のお客様でも、業種によっては売上が激減してしまったケースも出ており、休業の相談も増えてきています。
服部社長
やはりそうなのですね。当社は現状では休業を行うまでの状況ではありませんが、やはり徐々に影響が出てきています。今後、休業の検討を行う場面も出て来るのかも知れません。会社の都合で休業を行う場合には休業手当が必要だったと思いますが、休業手当というのはどのように計算すればよいのでしょうか?
大熊社労士
はい、労働基準法に定めがあり、平均賃金の60%以上の額の支払いが求められます。そして、一定の要件を満たした場合、その支給額の一定割合が雇用調整助成金として支給される場合があります。
服部社長
なるほど。それで平均賃金というのはどのように計算すればよいのですか?
大熊社労士
こちらも労働基準法に定めがありますが、(1)原則計算と(2)最低保証の2段階での計算が求められます。まずは原則計算ですが、平均賃金を算定すべき事由の発生した日、つまり今回であれば休業日の以前3カ月間に、その労働者に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額となります。ちなみに、賃金締切日がある場合、起算日は直近の賃金締切日となります。御社の賃金締切日は毎月月末ですから、もし本日(2020年3月23日)に休業するのであれば、2月29日から遡って3カ月間、つまり12月1日から2月29日までの3カ月間が対象期間となります。
福島さん
そのように考えるのですね。分子は「支払われた賃金の総額」となるのですよね。ここには通勤手当や時間外割増賃金なども含めて計算するのですか?
大熊社労士
はい、そうなります。ちなみに計算において、銭未満の端数は切り捨てで構いません。これが原則的な計算方法です。次が最低保証の計算です。賃金の一部または全部が、日給制、時給制、または出来高給制の場合には、最低保証額が定められています。その計算は先ほどと同じ当該期間の賃金総額を、その期間の労働日数で除した金額の60%となります。
福島さん
分子は同じで、分母が労働日数に変わり、その60%ということですね。この2つの計算により導き出された金額のいずれか高い方が平均賃金となるのですね。
大熊社労士
そういうことです。この平均賃金は解雇予告手当を計算するときにも用います。いずれにしてもあまり計算したくない金額ですね。
服部社長
ありがとうございます。よくわかりました。当社としても休業しなくても済むように事業を進めていきたいと思います。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
おはようございます。大熊です。今回は休業手当算出の際に用いられる平均賃金の計算について取り上げました。最低保証の計算を漏らしている例が少なくありませんので、ご注意ください。
(大津章敬)