6月末まで実施期限の健康診断 新型コロナの影響で10月末まで延長に

 新型コロナウイルスの影響で、労働安全衛生法に基づく健康診断の実施を延期している企業が多いのではないかと思います。この対応について、2020年5月27日に改定された「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」の中で、2020年6月末までに実施することが求められる一般健康診断については、同年10月末までに延期することが認められるとされています。

 夏から秋にかけて多くの企業の健康診断の実施が集中することになり、予約がなかなか取れないという事態も想定されることから、早めの手配を進めておきましょう。以下では、このQ&Aの該当部分を引用しておきます。

<健康診断の実施>
問2 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、労働安全衛生法に基づく健康診断の実施を延期するといった対応は可能でしょうか。

 事業者は労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき、労働者の雇入れの直前又は直後に健康診断を実施することや、1年以内ごとに1回定期に一般健康診断を行うことが義務付けられています。しかしながら、令和2年2月25日に決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大するリスクがあることが示されていること等を踏まえ、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関において実施することが求められるものですが、引き続き、これらの一般健康診断の実施時期を令和2年6月末までに実施することが求められるものについては、延期することとして差し支えありません。

 また、事業者は、労働安全衛生法第66条第2項及び第3項並びにじん肺法の規定に基づき、有害な業務に従事する労働者や有害な業務に従事した後配置転換した労働者に特別の項目についての健康診断を実施することや、一定の有害な業務に従事する労働者に歯科医師による健康診断を実施すること等が義務づけられています。これらの特殊健康診断については、がんその他の重度の健康障害の早期発見等を目的として行うものであるため、法令に基づく頻度で実施いただく必要があり、そのためには、新型コロナウイル感染症のまん延防止の観点から、健康診断実施機関において、健康診断の会場の換気の徹底、これらの健康診断の受診者又は実施者が触れる可能性のある物品・機器等の消毒の実施、1回の健康診断の実施人数を制限するなどにより、いわゆる“三つの密”を避けて十分な感染防止対策を講じていただく必要があります。ただし、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関での実施が困難である場合には、引き続き、特殊健康診断等の実施時期を令和2年6月末までに実施が求められるものについては、延期することとして差し支えありません。なお、これらの取扱いは、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた令和2年6月末までに限られた対応となりますので、ご注意ください。

 健康診断の実施時期を延期したものについては、いわゆる“三つの密”を避け、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関において、できるだけ早期に実施することし、令和2年10月末までに実施してください。なお、健康診断実施機関の予約が取れない等の事情により、やむを得ず10月末までの実施が困難な場合には、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、それに基づき実施する必要があります。


参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)令和2年5月27日時点版」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言の解除を踏まえた各種健診等に
おける対応について(健健発0526第1号 令和1年5月26日)
https://www.ningen-dock.jp/pdf/covid19_Kaijo_20200526.pdf?fbclid=IwAR3uFRZibwn5bXFBPanzk0lfMr9v3IFWIy_altZzjiRiUONoq5cA7GOwGhA

(大津章敬)