社会保険の適用拡大等が盛り込まれた年金制度改正法が成立しました

 現在開会されている通常国会も、6月17日までの会期末まで残りわずかとなりました。雇用調整助成金の上限額の引上げ等が盛り込まれた第二次補正予算案の行方が注目されるところですが、2020年3月3日に国会提出されていた「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が2020年5月29日に参議院で可決、成立しました。

この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものとして作られたものであり、以下のような内容が盛り込まれています。

1.被用者保険の適用拡大
①短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、段階的に引き下げる(現行500人超0→100人超→50人超)。
②5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。
③厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用する。

2.在職中の年金受給の在り方の見直し
①高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年定時に改定することとする。
②60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円(令和2年度額)に引き上げる。)。

3.受給開始時期の選択肢の拡大
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大する。

4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
①確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等の選択肢を拡大する。
※企業型DC:厚生年金被保険者のうち65歳未満70歳未満個人型DC(iDeCo):公的年金の被保険者のうち60歳未満65歳未満
②確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲の拡大(100人以下→300人以下)、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和など、制度面・手続面の改善を図る。

5.その他
①国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え
②未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加
③短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ
④年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者の見直し
⑤児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し等

 施行は五月雨式に行われますが、企業にとって大きな影響が出る改正も盛り込まれています。今のうちから内容をしっかり確認しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html
(宮武貴美)