新型コロナの感染で重症化する恐れのある従業員の離職は「特定受給資格者」扱いに

 雇用保険の被保険者が会社を退職した場合、雇用保険の失業等給付の一つである基本手当を受給することで、転職活動中の生活を維持することになりますが、自己都合で退職した場合には、基本手当を受給するまで原則として3ヶ月間の給付制限期間が設けられます。

 これに関連して、新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由としてやむを得ず離職した被保険者については、倒産、解雇等により再就職の準備をする余裕なく離職した被保険者と同様の特定受給資格者として扱うことにより、給付制限をなくし、通常の受給資格者に比べ、基本手当の給付日数が拡充となる措置を導入することが検討されてきました。

 そして昨日の官報で、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令が公示され、本人または同居の親族が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に重症化するおそれのある疾患を有すること(その他の職業安定局長が定める理由)による退職については、暫定措置として特定受給資格者に該当することになりました。

 対象は2020年5月1日以降の離職者となります。従業員の中には、新型コロナウイルス感染症の影響でやむを得ず離職するという人も存在するでしょう。離職理由は通常より慎重に確認しておきたいものです。


参考リンク
厚生労働省「第150回労働政策審議会職業安定分科会資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11523.html
官報「令和2年6月8日(本紙 第265号)」
https://kanpou.npb.go.jp/20200608/20200608h00265/20200608h002650000f.html
(宮武貴美)