休業手当が支給されない労働者への直接給付「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」が盛り込まれた法案が国会提出

 新型コロナウイルス感染症への対応に必要な予算が組み込まれた第二次補正予算案は、今日(2020年6月8日)の閣議で決定され、国会に提出されましたが、これとあわせて、休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金)等が盛り込まれた「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」が国会に提出されました。

 この法案で、以下のような内容が盛り込まれています。

1.休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度
①新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、休業期間中に休業手当を受けることができなかった被保険者に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施できる。
(注)中小企業の被保険者に対し休業前賃金の80%(月額上限33万円)を休業実績に応じて支給。
②雇用保険の被保険者でない労働者についても、①に準じて給付金を支給する事業を実施できる。
③①及び②の給付金について、公租公課や差押え禁止及び調査、報告に関する規定の整備等の規定を整備する。

2.基本手当の給付日数の延長
新型コロナウイルス感染症等の影響による求職活動の長期化等に対応し、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の受給者について、給付日数を60日(一部30日)延長できることとする。

3.雇用保険の安定的な財政運営の確保(いずれも令和2年度及び令和3年度の措置)
雇用保険制度の安定的な財政運営を確保するため、以下の措置を講ずる。
①求職者給付等に要する経費について、経済情勢の変化や雇用勘定の財政状況を踏まえ、一般会計から繰り入れることができる。
②上記1①の事業、雇用調整助成金等に要する費用の一部として、一般会計から繰り入れる。
③育児休業給付に要する経費を、積立金から借り入れることができる。
④雇用安定事業に要する経費を、積立金から借り入れることができる。

 特に1.については、雇用調整助成金の支給申請と相まって注目がされており、休業手当の支払いとの兼ね合いや、その支給までの手続き方法等に関心が集まるところです。まだ、法案のみで詳細が規定される省令がどうなるかはわかりませんが、いずれにしてもまずは法案成立に注目していきましょう。


参考リンク
厚生労働省「第201回国会(令和2年常会)提出法律案」
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/201.html
首相官邸「令和2年6月5日(金)定例閣議案件」
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2020/kakugi-2020060501.html
(宮武貴美)