高齢者の職場環境改善のためのおススメの補助金制度ができました
全国的に梅雨入りし、スーツで出掛けるのが億劫になっている大熊であった。
大熊社労士
おはようございます。今日は湿気でベタベタですね。
服部社長
おはようございます。梅雨入りしてから、本当に湿度がすごいですね。これで新型コロナウイルスの感染も止まればいいと思います。
大熊社労士
本当にそうですね。さて、今日は先週公表された新しい情報をお伝えしたいと思います。御社でも60歳以上の従業員の方が数名いらっしゃいますよね。
宮田部長
はい、いま3名の嘱託社員がいます。
大熊社労士
そうした高齢者が安心・安全に働くことができるよう、職場環境を改善するための対策を行った際に、その費用を補助するエイジフレンドリー補助金が創設されました。中小企業限定ですが。
宮田部長
それはいいですね。当社の場合、工場の現場で働いている従業員はどうしても体力的にきつくなってきますし、最近も高齢従業員の労災が少し目立っていて、なんらかの対策が必要だと思っていたところでした。
大熊社労士
そうでしたか。それであればピッタリかも知れません。対象となる事業主は、高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用している中小企業事業主です。具体的には、働く高齢者を対象として職場環境を改善するための次の対策に要した費用を対象として、その2分を1を上限100万円(消費税を含む)まで補助されます。
(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入
(2)働く高齢者の健康や体力の状況の把握等
(3)安全衛生教育
(4)その他、働く高齢者のための職場環境の改善対策
服部社長
それは大きいですね。具体的にはどのような取り組みに助成されるのですか?
大熊社労士
はい。かなり幅広い取り組みに対して、助成されます。以下、この補助金のリーフレットから引用します。
【働く高齢者の新型コロナウイルス感染予防】
◇ 介護におけるリフト、スライディングシート等の導入
◇ 介護における移乗支援機器等の活用
◇ 客室への荷物配送、配膳等の自動搬送機器の導入
◇ 熱中症の初期症状等の体調の急変を把握できる小型携帯機器 (ウェアラブルデバイス) による健康管理システムの利用
※使い捨てマスク等の消耗品、ビニールカーテン等の仮設の設備については対象となりません
【身体機能の低下を補う設備・装置の導入】
◇ 通路の段差の解消(スロープの設置等)
◇ 階段に手すりの設置
◇ 床や通路の滑り帽子対策(防滑素材の採用、防滑靴の支給)
◇ 暗い作業場所の照度の改善
◇ 危険箇所への安全標識や警告灯等の設置
◇ 高齢者に聞きとりやすい中低音域の警報音に交換
◇ 作業時の有効視野を考慮して警告・注意機器の配置の改善
◇ 業務用の車両への自動ブレーキまたは踏み間違い防止装置の導入
◇ 熱中症リスクの高い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備
◇ 体温を下げるための機能のある服などの支給
◇ 不自然な作業姿勢を改善するための作業台等の設置
◇ 重量物搬送機器・リフトの導入
◇ 重筋作業を補助するパワーアシストスーツ等の導入
【健康や体力の状況の把握等】
◇ 安全で健康に働くための体力チェックの実施
◇ 健康診断や歯科健診、体力チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指導等の実施
◇ 保健師やトレーナー等の指導による身体機能の維持向上活動
【安全衛生教育】
◇ 加齢に伴う労働災害リスクの増大の理解促進のための教育
◇ 高齢者の理解度を測りつつ反復実施する安全衛生教育
※労働者個人ごとに費用が生じる対策(ウェアラブルデバイス、防滑靴、体力チェックなど)については、雇用する高年齢労働者の人数分に限り補助対象とします
福島さん
これはすごい。本当にいろいろな取り組みに補助されるのですね。当社の場合は、どれがいいのかなぁ。「 熱中症リスクの高い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備」とか「重量物搬送機器・リフトの導入」なんて、現場ではよさそうですね。
宮田部長
そうだね。健康経営の観点から「健康診断や歯科健診、体力チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指導等の実施」とか「保健師やトレーナー等の指導による身体機能の維持向上活動」なんかもいいかも知れない。
大熊社労士
そうですね。まだ始まったばかりの制度ですが、是非活用を検討し、みなさんにとって働きやすい職場づくりを進めていってください。
服部社長
そうですね。70歳まで安心して働くことができる職場を目指して、いろいろ対策を行っていこうと思います。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
おはようございます。大熊です。今回はエイジフレンドリー補助金について取り上げました。この補助金は、(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会が補助事業の実施事業者となり、中小企業事業者からの申請を受けて、審査等を行い、補助金の交付決定と支払いが行われるものです。申請期間は2020年10月31日までとなっていますので、参考リンクにある情報を参照し、検討を進めるとよいでしょう。
参考リンク
厚生労働省「エイジフレンドリー補助金の申請受付開始について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11819.html
厚生労働省「令和2年度エイジフレンドリー補助金について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
(大津章敬)