今後はL字カーブの是正が重要なテーマとなっていきます

 新型コロナに加え、九州等の豪雨、更には地震も増えており、いろいろ心配な大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。九州、そして長野・岐阜の長野は本当に大きな被害になってしまいましたね。
宮田部長宮田部長
 本当にそうですね。川が増水して、橋が流されていく映像というのは衝撃的でしたね。それに新型コロナも東京を中心に急増していて、なかなか世間も落ち着かないですね。
大熊社労士
 そうですね。新型コロナについても、重症化の事例は少なくなっているのかも知れませんが、ここまで増えると出張なども規制せざるを得なくなりますね。
服部社長服部社長
 困ったものですね。当社でも先日、首都圏への出張を解禁して、やっと動き始めたばかりでしたが、地元の感染者の状況を見ても、東京で感染したというものが一定数あるので、禁止するまでではなくとも、いくらか抑制しないといけないかと考えているところです。やはり、WEB会議で仕事を進めるなど、ニューノーマルへの対応が重要になりますね。
大熊社労士
 そう思います。そういえば先日、骨太の方針2022の原案が示されましたが、そこでも新型コロナ後のニューノーマルについて、「新たな日常の実現」という表現で、その方向性が示されています。ちなみに服部社長、「L字カーブ」という言葉をお聞きになられたことはありますか?
服部社長
 「L字カーブ」ですか?いや、聞いたことないですね。福島さんはある?
福島さん
 「L字カーブ」ですよね?「M字カーブ」であれば知っていますが。
大熊社労士大熊社労士
 さすが福島さんですね。M字カーブというのは、女性の労働力率の年齢別のカーブで、結婚・出産期に当たる20代後半から30代にかけて低下し、育児が落ち着いた40代以降に再び上昇することでアルファベットのMの形になるというものです。
福島さん
 「M字カーブ」はかなり改善しているのですよね?
大熊社労士
 はい、グラフを見て頂きたいのですが、女性の育児休業取得率の高まりもあって、M字カーブはほぼ解消したと言ってもよい状態です。
福島照美福島さん
 本当にそうですね。もうMというよりは丘という感じですね。あ、この下にあるのが「L字カーブ」ですね。女性の年代別正規雇用率ということですか。
大熊社労士
 そうなのです。内閣府が先日公表した「選択する未来2.0」、そして骨太の方針2020原案で指摘したのが、このL字カーブです。女性の正規雇用率は20代後半でピークとなり、その後、出産期以降にどんどん率が低下しており、それをグラフにするとアルファベットのL字のようになっているというものです。
服部社長
 本当にLの形になっているものですね。国としては当然、この解消に向けて動くことになるのですか?
大熊社労士
 はい、骨太の方針2020原案ではこの問題に関して以下の記述が見られます。
「出産後に女性の正規雇用比率が低下するいわゆるL字カーブの解消に向け、継続就業率の新たな目標の実現に向けた取組を推進するとともに、女性の正規化を重点的に支援する。就業調整の解消や女性に集中する子育ての負担の軽減に取り組む。配偶者の出産直後の男性の休業を促進する枠組みの検討など、男性の育児休業取得を一層強力に促進する。」
福島さん
 いろいろな影響が予想されますね。
大熊社労士
 そうですね。少なくとも以前から議論されている育児休業給付金の支給率の引き上げは法改正に向けて突き進んでいくことになるでしょうね。更には国家公務員では事実上先行している育児休業の取得義務化の議論も活性化してくるのではないかと思います。
服部社長
 そうですか。これからは男性でも育児休業を取得することが当たり前の時代になっていくのかも知れませんね。
大熊社労士
 男性の家事・育児の参加率は、少子化の重要論点と捉えられていますから政策的には間違いなくそちらに進むでしょうし、また若手従業員の意識もそちらに向かっていますので、間違いないでしょうね。
服部社長
 当社でもそうした新しい環境に対応できるように、準備を進めたいと思います。

>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は骨太の方針2020に登場するL字カーブについて取り上げてみました。これまで日本の女性労働における課題とされてきたM字カーブはほぼ解消し、次の課題として持ちあがったのがL字カーブです。このテーマは、今後、同一労働同一賃金との連携し、総合的な非正規労働対策として、様々な政策に展開していくと予想されます。来年の通常国会の頃には議論も盛り上がってくると思われますので、注目していきましょう。


参考リンク
内閣府「選択する未来2.0」
https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/index.html
内閣府「令和2年第10回経済財政諮問会議」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0708/agenda.html

(大津章敬)