今秋の最低賃金額 目安が示されず、引き上げ見送りの公算
2020年7月22日に、中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に対して、令和2年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行いました。結論としては、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用・労働者の生活への影響、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況、今後の感染症の動向の不透明さ、こうした中でも雇用の維持が最優先であること等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当との結論を下すに至っています。
答申の内容は以下のとおりです。
- 令和2年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
- 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
- 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
- 中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性については労使共通の認識であり、生産性向上の支援や官公需における対応を含めた取引条件の改善等に引き続き取り組むことを政府に対し強く要望する。
- 行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
今後、最低賃金は各都道府県の地方最低賃金審議会での審議に移ることになります。最低賃金は、毎年3%の引き上げを行い、加重平均1,000円を目指すという方針で大幅な引き上げが行われてきていますが、今年については、引き上げが見送られる見通しが高くなりました。
参考リンク
厚生労働省「令和2年度地域別最低賃金額改定の目安について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12604.html
(大津章敬)