標準報酬月額の上限額に係る随時改定と等級追加に伴う特例の通達の発出

 社会保険の標準報酬月額は、定時決定(算定基礎)の他、賃金の額が大幅に変動したときは随時改定(月額変更)により見直しを行います。この随時改定は次の要件をすべて満たしたときに行うことになっています。

1.昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
2.変動月からの3ヶ月間に支給された賃金(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
3.3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

 この際、2.について、標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更の場合は、賃金額が大きく変更されても2等級以上の変更とならないケースもり、1等級の差が生じた場合にも、随時改定の対象となることとされています。

 今回、2020年9月より厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級が変更になることから、随時改定の取扱いも以下のとおりとなります。

1.昇給の場合
 31等級(620千円)の被保険者について、賃金の平均月額が66万5,000円以上になったときには、32等級(650千円)となる。
2.降給の場合
 32等級(650千円)で報酬月額が66万5,000円以上の被保険者について、賃金の平均月額が62万円未満になったときには、31等級(620千円)以下の等級となる。

 また、最高等級が追加になることに伴い、区分が追加される移行時期の随時改定の特例的な取扱いについて通達が発出されています。最高等級に該当する従業員がいるときは、通達を確認しておきましょう。

↓厚生年金保険の標準報酬月額の等級区分改定に伴う随時改定の特例通達
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200819T0040.pdf


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2020年8月15日 「厚生年金保険の標準報酬月額の上限額引上げ 官報で正式公示」
https://roumu.com/archives/104005.html
2020年7月21日「厚生年金保険 標準報酬月額上限額 65万円へ引上げの案内開始」
https://roumu.com/archives/103780.html
参考リンク
法令等データベース「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正について(令和2年8月17日保発0817第1号・年管発0817第1号)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200819T0030.pdf
法令等データベース「厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令の施行に伴う標準報酬月額の改定に係る特例的な取扱いについて(令和2年8月17日年管管発0817第3号)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200819T0040.pdf
(宮武貴美)