公表された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定版案
副業・兼業の推進は働き方改革実行計画の中にも盛り込まれている政府の重要政策ですが、そのガイドラインの見直しが予定されており、昨日の労働政策審議会労働条件分科会において、改訂版案が公表されました。
従来版にかなり加筆された内容になっていますが、もっとも注目を集めているのが、労働時間の通算管理に関する事項です。今回の改定版案では、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労基法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法として「管理モデル」という方式が設けられています。
この管理モデルは、副業・兼業の開始前に、当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」という。)の事業場における法定外労働時間と時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」という。)の事業場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)とを合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させることとするもの。
この管理モデルにより、使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場における 36協定の延長時間の範囲内とし、割増賃金を支払うこととなります。これにより、使用者A及び使用者Bは、副業・兼業の開始後においては、それぞれあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場における実労働時間の把握を要することなく労基法を遵守することが可能となるのです。
その詳細についても改定版案の中に記載されておりますので、関心のある方は是非チェックしてみてください。
参考リンク
厚生労働省「第163回労働政策審議会労働条件分科会(資料)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13228.html
(大津章敬)