有名中華料理店の経営者が不法就労助長罪で逮捕

 2020年9月30日、神奈川県横浜市の横浜中華街にある焼きそばで有名な中華料理店の経営者が出入国管理法違反(不法就労助長罪)の疑いで逮捕されました。報道によると、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格での就労が認められた中国籍の従業員7名について、当該在留資格では従事が認められていない接客やレジ打ちといった業務に従事させていたようです。

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、通訳などを行う高度人材用の在留資格であり、その活動内容は下記のとおり定義されています。当該在留資格では、接客やレジ打ちなどのいわゆる単純労働に従事することはできないため、在留資格で認められた活動内容以外の業務に従事することは資格外活動と呼ばれ、資格外活動はその許可を受けていない限り、行うことはできず、対象外の業務に従事させれば、使用者は不法就労助長罪の罪に問われることになります。(なお、留学生は「留学」の在留資格ですが、出入国管理庁に資格外活動の許可を得ることで、飲食店などでのいわゆる単純労働のアルバイトを週28時間以内の範囲で行うことが可能となっています。)

<「技術・人文知識・国際業務」の活動内容>
 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項,芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで,企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)。
該当例としては,機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師など。

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、高度人材の在留資格の中でもボリュームゾーンであり、多くの企業において活用がされています。高度人材の在留資格で外国人を雇用されている企業におかれましては、対岸の火事とせず、自社の従業員において、当初許可を得た業務内容から従事業務に異なりが生じていないか、高度専門業務ではなく単純労働に従事させていないかなど、今一度点検をされることをお勧めします。特に、総務サイドでは理解、認識をされていても、現場の運用が崩れているといった場合も考えられるため、現場の実態をきちんと点検をされるとよいでしょう。

<参考リンク>
法務省「技術・人文知識・国際業務」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00089.html
法務省「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan69.html