愛知県内労基署の長時間労働監督指導 その80%超が従業員50人未満の小規模事業場が対象
愛知労働局より、令和元年度の長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導結果が公表されました。労働基準監督署による監督指導は、1か月当たりの時間外・休日労働時間数が80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としており、時間外・休日労働時間のほか、労働時間の管理方法についての実態調査も行われています。
これによれば、今回、監督指導が行われた1,565事業場のうち、違法な時間外労働が確認されたのは、全体の51.1%にあたる800事業場でした。このうち、80時間を超えるる時間外・休日労働が認められた事業場は304事業場(違法な時間外労働があったもののうち38.0%)あり、さらに、200時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場も4事業場ありました。80時間超の時間外・休日労働は安全配慮義務の観点からも問題となりますので、その要因を分析した上で、確実に対応が必要となります。
ちなみに今回、監督指導が実施され事業場を従業員規模別で見ると、1~9人が368事業場(23.5%)、10~29人が662事業場(42.3%)、30~49人が229事業場(14.6%)と、50人未満の事業場で全体の8割を占めており、こうした監督指導は大企業だけでなく、小規模企業においても積極的に行われていることが分かります。小規模企業であったとしても、最低限の労務管理についてはしっかりと押さえることが求められます。
今年度は新型コロナウイルスの影響により、労働時間が減少している事業場も多いかと思いますが、労働時間の適正な把握や健康障害防止措置などは、日ごろから取り組んでいく必要があるでしょう。
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2020年9月9日「労基署の監督指導による違法な時間外労働の是正指導割合は47.3%」
https://roumu.com/archives/104332.html
参考リンク
愛知労働局監督課「長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/news_topics/houdou/_121619/_122233_00138.html
(伊藤杏奈)