子の看護休暇の時間単位取得について育児・介護休業規程の修正は必要ですか?
10月ももう残り2ヶ月となり、そろそろ来年以降の人事労務管理の改正への対応も気になり始めた大熊であった。
福島さん
大熊先生、おはようございます。今日は育児・介護休業規程のことについてお聞きしてもよいですか?
大熊社労士
来年1月の子の看護休暇・介護休暇の時間単位付与のことですか?
福島さん
えぇ。一応改正点は押さえているのですが、そもそも今回の改正によって、育児・介護休業規程を修正する必要があるのかな?と疑問に思いまして・・・。
宮田部長
最近、育児や介護関連の改正って多いじゃないですか。もちろん、仕事と育児・介護の両立のために制度が整備されていくのはいいんですよ。でも、制度がちょこちょこ変わるイメージがしてきて、そのたびに就業規則(育児・介護休業規程)は改定。これが仕事の一つではあるものの、ちょっと面倒臭いなぁと思ってしまったのですよ。
大熊社労士
なるほど。確かにどの法律よりもこの短期間に繰り返し改正された印象はありますよね。この育児・介護休業法に基づく制度ですが、その多くが就業規則に定めるべきいわゆる絶対的必要記載事項に当たるのです。
宮田部長
始業時刻とか、休日とか定める必要がある、アレですね。
大熊社労士
そうです。ソレです(笑)。例えば今回の改正点である子の看護休暇・介護休暇は就業規則の絶対的必要記載事項に該当し、(1)付与要件(対象となる労働者の範囲等)、(2)取得に必要な手続、(3)期間、について記載する必要があるのです。
福島さん
そっかぁ!就業規則の本則に年次有給休暇に関する定めがあることと似ていますね。
大熊社労士
そうですね。労働基準法で定められている年次有給休暇ですが、それでも就業規則には明記が必要ですよね。
福島さん
ちなみにどのように規定を修正すればよいのでしょうか?
大熊社労士
はい、今回の改正では、半日単位で取得することができるようにする、というものが、時間単位で取得することができるようにする、となりました。育児・介護休業規程では、子の看護休暇と介護休暇の「半日単位」を「時間単位」と変更することになります。細かな規定修正ポイントはまた、今度ご説明するとして、制度としては始業時刻また終業時刻から連続する1時間単位の休暇を設けることになっています。
福島さん
遅刻や早退のようなイメージですね。
宮田部長
ん?途中はいいのですか?私用外出的な。
大熊社労士
はい、もちろん、私用外出・・・中抜けのようなものも認めるように配慮をしてくださいね、というのが厚生労働省のスタンスですが、そこは義務化されていません。
宮田部長
へぇ~、中抜けの希望もありそうなのですが、法令では認めなくてもいいのですね。勉強になります。
福島さん
大熊先生、それでは次回、規程の変更点等の解説をお願いできますか?
大熊社労士
はい、承知しました。現在の育児・介護休業規程と、それに関わる労使協定をご準備いただけますか。
福島さん
承知いたしました。よろしくお願いいたします。
>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
おはようございます。大熊です。育児休業や介護休業についても就業規則の絶対的必要記載事項の「休暇」にあたり、これらの休暇を取得したときの賃金の取扱いは「賃金に関する事項」に該当します。また、育児短時間勤務は、始業および終業の時刻等に該当するため、やはり、就業規則(育児・介護休業規程)への記載が必須です。来年の1月までに改正内容を理解し、育児・介護休業規程の変更をしておきましょう。
参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)