経済団体に行われた新卒者等の採用維持・促進に向けた配慮要請

 新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降の企業説明の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど学生の就職活動への影響が生じていることから、厚生労働省は、文部科学省や経済産業省等と連携し、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対し、新卒者等の採用維持・促進に向けた配慮について要請しました。

 要請文を確認すると、新卒者等の採用維持・促進に向けた取組として、新卒者等に対する支援と企業に対する支援に分け、以下のように示しています。

1.新卒者等に対する支援
(1)新卒者等への就職支援の強化
新卒応援ハローワークについて、対象者に新卒者のみならず、3年以内の既卒者も含まれることを明確化しつつ、積極的な利用を周知徹底【厚労省】
②大学のキャリアセンター等との連携を強化し、就職支援ナビゲーター(※1)の大学への定期的な訪問、新卒応援ハローワークへの誘導を働きかけ【厚労省、文科省】
(※1)担当者制で個別相談等を行う新卒者等の就職支援を専門とする職業相談員
③新卒応援ハローワークによる新卒者及び3年以内の既卒者の個別の状況に応じたきめ細かな支援【厚労省】
○就職活動中の未内定学生等
・担当者制によるきめ細かな個別支援
・学生個々の状況を踏まえつつ、人手不足分野等の求人への誘導・開拓
・就職説明会・面接会情報のSNS等を活用した一元的な提供
・悩みを抱える学生等へ臨床心理士等による心のケア
○コミュニケーションに課題を抱える学生等
・就職支援ナビゲーター、臨床心理士等から構成する特別支援チーム(※2)による支援
(※2)コミュニケーション等に課題を抱える新卒者等を効果的・集中的に支援するため、臨床心理士などで構成するチーム
○内定取消し等にあった学生等
・「新卒者内定取消等特別相談窓口」による個別のきめ細かな支援
○来年度以降新卒者
・就職支援ナビゲーターが大学等を訪問して行う講話等を通じ、より早い時点から就職活動に向けた意識醸成を図るとともに、地域の産業等についての説明会を早期に実施

(2)大学等を通じた就職支援の強化大学等を通じた就職未内定の学生への就職支援の強化に取り組む。【文科省】
○就職活動中の未内定学生への支援
・大学等の特色ある就職支援の事例を収集し、大学等が活用できるよう広く周知【文科省】
・政府・地方公共団体・企業等が有する学生が進路を決定するために有益な情報を集約し、大学等に提供することで、様々な事情や個別課題を持った学生に対するオーダーメード型の就職支援を構築し、ミスマッチを防止【文科省、関係省庁】
○就職未内定のまま卒業する学生への支援
・新卒応援ハローワークの活用や大学等のキャリアセンター等の学内リソースの継続的な利用について促進【文科省】
○就職未内定のまま修業年限を超えて在学する学生への支援
・学生の就職活動の積極的な状況把握に努め、学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるように支援するとともに、学生が活用できる幅広い支援策を必要に応じて情報提供【文科省】

2.企業に対する支援
(1)新卒者等と採用意欲のある中小企業とのマッチング促進
・各地域にある経済産業局において、中小企業と多様な人材の合同マッチングの機会を設けるとともに、中小企業の魅力を伝えるための経営者と大学生等の交流の場の設定等を含む、新卒者向けの取組の積極的な情報発信を実施【経産省】

(2)東京等の若者人材の移転支援(令和3年度概算要求30.0億円の内数【経産省】)
・新型コロナウイルス感染症の影響による地方移住への関心の高まりといった状況を踏まえ、東京をはじめとする都市の若者人材の移転に関する手法を検討【経産省】

 就職氷河期世代で希望するにもか関わらず、正社員として就職できないこと等、就職氷河期世代の問題は今なお残っています。第二の就職氷河期世代を生まないとの観点から、政府は本年度および来年度の新卒者等について中長期的な視点に立った採用を行うよう経済団体に要請しています。


参考リンク
厚生労働省「新卒者等の採用維持・促進に向けて、田村厚生労働大臣・坂本一億総活躍担当大臣・萩生田文部科学大臣・長坂経済産業副大臣が、経済団体に対し協力要請をしました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000193580_00006.html
(宮武貴美)