子の看護休暇等が時間単位になることで育児・介護休業規程のどこを修正すればよいですか?

 すっかり寒くなったと、冬用のスーツに身を包みながら、足早に服部印刷に向かう大熊であった。


福島照美福島さん
 大熊先生、今日も育児・介護休業規程の子の看護休暇と介護休暇について、教えていただく予定でしたよね。
大熊社労士
 はい、そうですね。規程の修正箇所を確認していきましょうか。お手元に育児・介護休業規程と労使協定を用意していただいていますよね。あ、ちなみに、子の看護休暇と介護休暇の変更は同じように考えることができるので、ここでは子の看護休暇のみで説明させてもらいますね!
福島さん
 承知しました。育児・介護休業規程と労使協定ですが、こちらに準備しておきました。
大熊社労士
 それでは子の看護休暇の部分を確認しましょうね。現在の規定が、「2 子の看護休暇は、半日単位(1日の所定労働時間の2分の1)で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。ただし、1日の所定労働時間が4時間以下である従業員は1日単位とする。」となっていますね。
宮田部長
 そうそう、半日単位で取れるようにしてくださいね、というときに変更しました。
福島さん
 半日の時間について、8時間の半分の時間で区切るのか、お昼休憩の時間で午前・午後と分けるのかで議論した覚えがありますが、パートさんが取得するときのことも考えると場合分けがたいへんなので、所定労働時間の半分で区切ることにしました。
大熊社労士大熊社労士
 そうでしたか。さて、まずは今回、厚生労働省が出している時間単位の部分の規定例を確認しましょうか。このようになっています。「子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。」
宮田部長
 すごくシンプルですね。
大熊社労士
 そうですね。今回は1日未満の単位で取れる休暇が、半日から時間単位に変更になりました。そのため、修正自体はややこしくないのです。なお時間単位ですから、1日の所定労働時間が4時間以下である従業員も、取得できるようになります。そのため、ただし書き以降は削除することになります。
宮田部長
 そっか、以前は1日4時間以下のパートさんであれば、1日単位にしてね、ってことだったのですね。
大熊社労士
 はい、そうです。そして、前回もお話したように中抜けについて導入が義務にはなっていないため、以前の「始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して」という表現はそのままに半日の表現をそのまま利用できることになります。
宮田部長
 簡単で、私にもできます。
大熊社労士
 そうですね。今回の改正はこの部分だけですから、育児・介護休業規程の変更も簡単に感じますね。御社の労使協定を拝見しましたが、子の看護休暇の取得ができない人として、勤続6ヶ月未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員が出てきますが、この部分に変更はありません。
宮田部長宮田部長
 ということは、労使協定は変更しなくてもよいですか?
大熊社労士
 はい。実は、先ほどお話したように、半日単位の時間について1日の所定労働時間の半分ではない時間(午前:3時間半、午後4時間半等)にすることもできますが、特にその記載はありませんし、結果、変更しなくても問題ありません。あ、あとは半日単位で取得できない人の定めもありませんね。
宮田部長
 半日単位での取得ができない人ってそういえば、以前の改正で聞いたような覚えがありますが、どういうものでしたっけ?
大熊社労士
 はい。原則は1日の所定労働時間が4時間超の従業員は全員、半日単位(改正により時間単位)で取得できるようにすることになりますが、業務の性質または業務の実施体制に照らして半日単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務があるときには、その業務を具体的に示して労使協定を締結することで、半日単位で取得することはできないようにすることができるのです。そのときは1日単位のみで取得することになります。
服部社長服部社長
 確かうちの仕事に該当しそうな業務はないね、という話になりましたよね。
大熊社労士
 そうです。これに関しては今回も時間単位で取得できない人として労使協定で定めることができます。半日単位と同じ考え方であり、かなり厳しく判断されるようですので、簡単には時間単位での取得の対象から除外することは難しいです。

>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス おはようございます。大熊です。今回の育児・介護休業規程の変更自体は小規模になりますが、時間単位での取得が可能になることで、勤怠管理に影響が出てきます。一般的には、頻繁に取得される休暇ではありませんが、一度、時間単位での取得があると、残日数(残時間数)の管理も正確に行う必要があります。自社で勤怠システムを導入しているときには、その対応も確認しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)