厚労省から注意が促される新型コロナに関連したいじめ・嫌がらせ等の発生防止
新型コロナウイルス感染症の感染者数が再度、増加傾向にあり、感染症対策の重要性が様々なところで言われています。感染者や濃厚接触者が発生した企業では、その従業員への対応が必要になりますが、気を付けておかなければ感染者等に対する新型コロナに関連したいじめ・嫌がらせ等です。
厚生労働省も、以前から周知している「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を更新し、以下のように新型コロナに関連したいじめ・嫌がらせ等が職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があるとして、注意喚起しています。
感染防止対策を徹底することが基本になりますが、感染者が発生した場合の対応から、その後の配慮まで、一貫した対応が求められています。
【問】職場において、新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等が起きた場合には、どのように対応したらよいでしょうか。また、そのような事態を未然に防ぐために、どのようなことをすべきでしょうか。
【回答】例えば、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を否定するような言動を行うこと、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし職場で孤立させること等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があります。職場におけるパワーハラスメントに関しては、改正労働施策総合推進法により、その防止のために事業主において雇用管理上の措置を講じることが求められています。
具体的には、相談窓口をあらかじめ定め労働者に周知することや事実関係を迅速かつ正確に把握し、適正な措置を行うこと等が必要です(令和2年6月1日施行。中小事業主は令和4年3月31日までは努力義務。)。また、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されていますので、ご留意ください(相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止は、規模にかかわらず、全ての事業主が対象となります)。これらの措置義務に違反した場合には、都道府県労働局において行政指導(助言・指導・勧告等)を行うこととなります。
なお、事業主自らも、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)に対する言動に必要な注意を払うよう努める必要があります。
新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等が行われることのないよう、労働者への周知・啓発を徹底し、適切な相談対応等を行っていただくことなどにより、職場環境の改善を行っていただきますようお願いします。
参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
(宮武貴美)