増加する新型コロナに係る労災保険請求と労災対象となる場面

 新型コロナウイルス感染症の第三波が到来と言われ、対策強化が行われているところであり、厚生労働省から公開されている新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数が、2020年11月20日時点で2,500件を超えるまで増加しています。

 このような中、厚生労働省から業務によって新型コロナウイルス感染症に感染した場合、労災保険給付の対象となることが案内されたリーフレット(関連記事参照)が公開がされました。

 対象となるものは、以下のとおりとなっています。
・感染経路が業務によることが明らかな場合
・感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
 [感染リスクが高い業務]
  <例1>複数の感染者が確認された労働環境下での業務
  <例2>顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務
・医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象

 月別の労災請求件数は、10月に過去最多の475件となりました。すでに支給決定した件数は、1,000件を超えており、今後も支給決定されることが予想されます。

 感染症対策を十分にしつつ、罹患したときにはその原因を把握し、状況に応じて労災保険請求を検討することになるのでしょう。


関連記事
2020年11月26日「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ 業務によって感染した場合、労災保険給付の対象となります」
https://roumu.com/archives/105250.html
参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る月別労災請求・決定件数」
https://www.mhlw.go.jp/content/000694821.pdf
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」
https://www.mhlw.go.jp/content/000627234.pdf
(宮武貴美)