最近、まだまだ学卒初任給は上昇しているのですか?

 新型コロナウイルスの更なる感染拡大が進み、今後の経済や雇用への影響を懸念している大隈であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長
 大熊さん、おはようございます。12月に入って、朝晩は寒くなりましたな。風邪などは引かれていませんか?
大熊社労士
 ありがとうございます。いまのところ、大丈夫そうです。御社でコロナの影響はその後、いかがですか?
服部社長服部社長
 まあ、いいとは言えません。なんといってもチラシの印刷が減ってしまって、その穴が埋まる目途が立っていないのが痛いところです。それでも社員のみなさんの頑張りで、最低限の利益は確保できるレベルにはなりそうですので、安心しています。
大熊社労士
 それは素晴らしいですね。実は毎月急落していた有効求人倍率も直近の調査では0.01ポイントですが上昇に転じるなど、少しづつ経済の回復も感じられるようになっていますので、もう少しの辛抱だと思いたいですね。
宮田部長宮田部長
 今年の賞与はさすがに例年より低く抑えなければならなかったので本当に心苦しかったですが、来年の夏季賞与でその減額分を上乗せできるように頑張っていきたいと思っています。さてさて、今日のご相談は学卒初任給のことです。そろそろ次の新卒採用の検討に入ろうと考えているのですが、初任給はまだ上昇しているのでしょうか?
大熊社労士
 初任給ですね。確かに近年の深刻な求人難で、毎年、学卒初任給の上昇が続いていました。さて、最新の調査結果を用いて、解説したいと思います。いまからお話するのは経団連の調査で、調査対象の76.1%は従業員500人以上の企業ですので、そこは少し割り引いて考えて頂いてもよいと思います。
宮田部長
 分かりました。
大熊社労士
 「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は 42.6%と今年も変わらず高水準の状態にあります。もっとも前年は57.2%、その前の年は59.0%でしたので、それらと比較するとかなり低下しています。この調査は2020年3月卒の新入社員の調査ですので、新型コロナの影響はほぼないと考えられますので、新型コロナという要因を抜きにしても、初任給の引上げについては一服感が出始めていたといえるのではないでしょうか。
福島照美福島さん
 なるほど。ということは来年以降については新型コロナの影響も出て来ると考えてよさそうでしょうか?業績悪化で新卒採用の停止や削減という話もよく聞くようになっていますし。
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。あくまでも予想ですが、大幅に引上げ率は低下するかも知れません。もっとも既に学卒初任給はかなり高くなっています。今回の調査では、大学卒事務系が218,472円(前年比+1,531円)、技術系が217,864円(前年比+1,185円)となっています。
宮田部長
 もう22万円台が見えてきていますね。
大熊社労士
 そうなのです。少し前であれば20万円台に乗せておかないと見劣りがすると話していたように思いますが、ここ数年でかなり上昇しているようです。
服部社長
 当社の大卒初任給はいくらだったかな?
福島さん
 205,000円です。採用活動の感覚としては、以前は十分な水準と感じていましたが、21万円台の企業が増えてきて、少し見劣りする場面も出てきたかなという感じです。
服部社長
 そうか。もっとも今後の採用については新型コロナの影響もあると思うので、まずは初任給は据え置きで活動を進め、状況によっては引上げを考えることにしようか。
宮田部長
 ありがとうございます。そのように進めます。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は経団連の調査から学卒の初任給水準について取り上げました。本当にここ数年でかなり初任給水準も上昇している印象を受けます。新卒採用においては初任給は重要な要素になりますので、少なくとも見劣りがしないような金額にする必要がありますが、実際には初任給だけではなく、研修制度の充実度合いや柔軟な働き方が認められるか、転勤の有無なども大きな要素となっていますので、自社として訴求するポイントを明確にした上で採用活動を進めるようにしましょう。


参考リンク
経団連「2020年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/121.pdf

(大津章敬)