出向により雇用維持する会社に支給される産業雇用安定助成金の概要(創設予定)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の悪化、これに対する雇用維持は、主に雇用調整助成金の拡充(特例)により対策がとられてきました。
会社を休業して、雇用調整助成金を受け取ることでの雇用維持の他、雇用する従業員を在籍型出向により働かせることで、雇用の維持を進める会社もあります。そこで、従業員を出向させる事業主と当該従業員の出向を受け入れる事業主に対して、一定期間の助成を行う産業雇用安定助成金(仮称)の創設が予定されています。
今回、その概要が公表されたので、創設予定という前提にはなりますが、その内容を確認しましょう。
助成内容は、出向運営経費と出向初期経費に分かれ、出向元事業主と出向先事業主とが共同事業主として支給申請を行い、その申請に基づきそれぞれの事業主へ支給します(申請手続きは出向元事業主が行う)。
<産業雇用安定助成金(仮称)>
■出向運営経費
従業員(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主及び当該従業員を受け入れる事業主に対して、賃金、教育訓練及び労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部を助成する。
・出向元が労働者の解雇等を行っていない場合
中小企業 9/10 中小企業以外 3/4
・出向元が労働者の解雇等を行っている場合
中小企業 4/5 中小企業以外 2/3
・上限額 12,000円/日
■出向初期経費
従業員(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主及び当該従業員を受け入れる事業主に対して、就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際して出向元であらかじめ行う教育訓練及び出向先が出向者を受け入れるために用意する機器や備品等、出向に要する初期経費を助成する。
・助成額
出向元事業主・出向先事業主ともに 各10万円/1人当たり(定額)
・加算額
出向元事業主・出向先事業主ともに 各5万円1人当たり定額)
※加算は、出向元事業主(雇用過剰業種の企業や生産性指標要件が一定程度悪化した企業からの送り出し)または出向先事業主(異業種からの受入れ)がそれぞれ一定の要件を満たす場合に行う。
制度の創設には、第三次補正予算の成立、厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点ではあくまで予定となるため、正式な決定を待ちましょう。
参考リンク
厚生労働省「産業雇用安定助成金(仮称)の創設」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000705785.pdf
厚生労働省「在籍型出向の活用による雇用維持への支援」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000705601.pdf
(宮武貴美)