公開された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)

 2020年はテレワークの普及とともに、フリーランスという働き方が注目を浴びた年となりました。今後、国としてもフリーランスという新たな働き方の選択肢を伸ばしていく方向にありますが、労働者ではないが故にどのような保護を与えるかが大きな論点となっていました。今回、事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請法、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これら法令に基づく問題行為を明確化するためのガイドラインが、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で策定されることとなりました。先日、その案が示されていますので、取り上げることとしましょう。

 今回のガイドライン案では、まず「フリーランス」の定義を、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者と定めています。その上で、独占禁止法、下請法、労働関係法令とフリーランスとの適用関係を整理し、「フリーランスと取引を行う事業者が順守すべき事項」、「現行法上「雇用」に該当する場合の判断基準」などについてまとめています。

 特に今後は雇用との線引きが問題になることが多いと予想されますが、本ガイドライン案では、ポイントとなる使用従属性に関する判断基準について、具体的な例を挙げて説明しており、非常にわかりやすい内容となっています。

 なお、このガイドライン案は、2020年12月24日~2021年1月25日までパブリックコメントを受け付けています。この受付が終わった上で、年度末には正式なガイドラインが示されると思われます。今後、増加が確実なフリーランスという働き方。このガイドラインは、フリーランスのみなさんも、フリーランスと契約しようとする事業者の方も要チェックの重要な内容となるでしょう。


参考リンク
厚生労働省「「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)の策定に向けたご意見の募集について」
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/flguideline.html

(大津章敬)