2021年度から変更されるキャリアアップ助成金の各種要件等

 非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して支給する「キャリアアップ助成金」があります。この助成金について、以下のとおり、2021年度以降、制度見直しに伴う内容変更を行う予定であることが厚生労働省から公表されました。

1.正社員化コース
【支給要件の変更】
■現状要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)

■新要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めない

【加算措置の変更】
加算措置のうち、「若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合」を廃止。
「勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合」の対象として新たに短時間正社員制度を追加。

2.障害者正社員化コース
【新設(障害者雇用安定助成金からの移管)】
障害者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、障害者雇用安定助成金
(障害者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置を、キャリアアップ助成金の「障害者正社員化コース」に移管。

3.健康診断制度コース
諸手当制度等共通化コースに統合。

4.諸手当制度等共通化コース
【支給要件の変更】
対象となる手当等の変更。
■現行の手当等
①賞与
②役職手当
③特殊作業手当・特殊勤務手当
④精皆勤手当
⑤食事手当
⑥単身赴任手当
⑦地域手当
⑧家族手当
⑨住宅手当
⑩時間外労働手当
⑪深夜・休日労働手当

■新手当等
①賞与
②家族手当
③住宅手当
④退職金
⑤健康診断制度
※①~④について、以下の支給または積み立てなどを行った事業主が対象。
①6ヶ月分相当として50,000円以上支給
②③1ヶ月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給
④月3,000円以上積み立て

5.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
【時限措置の延長】
2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長。
(従業員が100人を超える事業主は、一部の加算措置を除き2021年9月末まで)

6.短時間労働者労働時間延長コース
2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長。

 これらの内容は、2021年度予算の成立及び雇用保険法施行規則の改正が前提のため、今後、変更される可能性があることにご注意ください。

↓リーフレットのダウンロードはこちらから!
https://roumu.com/archives/106369.html


参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
(宮武貴美)