2021年度の社会保険料率はどうなりますか?

 そろそろ企業で給与計算を担当している人は、来年度の社会保険料がどうなるか関心が高まっているころだと思い、大熊は服部印刷で説明することとした。

大熊社労士:
 気付いたら3月も2週目になりましたね。
宮田部長宮田部長:
 ちょうど福島さんとも、先ほどそんな話をしていましたよ。もう3月、早い!
福島さん:
 今月は暦日数が少ない上に、月末が土日だったこともあり。給与計算がたいへんでした。
大熊社労士:
 確かにタイトな日程になりますね。お疲れさまでした。
福島さん:
 ところで、大熊先生、来年度の社会保険料率はそろそろ決まったのでしょうか。
大熊社労士:
 そうですね。大方決まりましたので、そろそろご紹介しようと思っていたところでした。まず、変わるものですが、協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率になります。
福島さん:
 毎年3月分から変更になりますよね。
大熊社労士:
 そうですね。今回も2021年3月分から変更になり、すでに新料率料額表が公表されています。引上げも・引下げ・据え置きとありますが、据え置きは富山県のみとなりました。
宮田部長:
 へぇ、1県だけだったんですね。それにしても、都道府県ごとに変更になるってややこしいですね。
福島さん:
 本当に。愛知県は引下げだから、従業員にとってはうれしいですね。えっと、実際には4月分の給与から変更する必要がありますので、注意します。
大熊社労士大熊社労士:
 さて、厚生年金保険料率は以前から固定になっているので、当然、2021年度も変更なしです。こちらのご認識はもう、大丈夫ですよね!そして、雇用保険率ですが、これも据え置きになりました。
宮田部長:
 えー!雇用調整助成金とか、たくさん利用されているので、てっきり引上げになると思っていました。
大熊社労士:
 確かに雇用保険率は財政状況に応じて変更されますので、そう感じるかと思いますが、令和元年度で考えると新型コロナウイルス感染症の影響は小さく、実際に基本手当の受給者数もそこまで増えていないのです。助成金の財源もそこまで悪くはなっていないのです。
宮田部長:
 確かに雇用調整助成金の特例措置等の話が頻繁に出てきたのは、昨年の3月頃だったように思います。
大熊社労士:
 そうですね。実際に、助成金の財源となる雇用保険二事業に係る資産残高は急激に減っていて、雇用調整助成金については一般会計から繰り入れされているものの、いずれは見直しが必要になるだろうと私は想像しています。
服部社長:
 解雇された人の人数が増えているというものの、一方で雇用調整助成金を始めとした助成金で雇用維持を図っているので、まだ失業した人への給付はそこまで増えていないということなのでしょうね。
大熊社労士:
 そうですね。経済が回復しなければ、そのうち雇用維持にも限界がくるでしょうから、さらなる失業者の増加が心配になります。話が少し広がりましたので、社会保険料率の話に戻しましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いいたします。
大熊社労士:
 もう一つ労働保険である労災保険料率は、3年に1度見直しが行われています。前回は2018年度に見直しが行われているので、2021年度から見直されることになりますが、結果としては据え置きになりました。
服部社長:
 こちらもいろいろ議論があったのですよね?
大熊社労士:
 そうですね。2つのパターンで試算をしたりして検討が進められ、余剰を取り崩して対応する必要が出てくるかもしれないものの、コロナ禍で引上げによる企業の負担増にも配慮したようです。
服部社長服部社長:
 確かにわずかな率の引上げでも企業にとって大きな負担となりかねないですからね。
福島さん:
 これまでのご説明から判断すると、給与計算で注意が必要なものは、健康保険料率と介護保険料率ということですね。
大熊社労士:
 そうですね。最後に子ども・子育て拠出金について説明しておきましょう。
宮田部長:
 そういえば、拠出金率も毎年度見直しでしたね。
大熊社労士:
 はい。ただ、この拠出金率はまだ明確になっていません。内閣府で議論が行われるのですが、その資料を確認する限りでは、現状と変わらず、0.36%になりそうです。
福島さん:
 そうでしたか。確か、法令では0.45%まで引上げられるようになっていたので、もしかしたら引上げかなと思っていました。
大熊社労士:
 まだ、正式には公表されていないのですが、やはり事業主の負担増になることを避けるような対応になると想像しています。
福島照美福島さん:
 給与計算には関わらない部分ですが、今後の情報に注視しておきますね。
大熊社労士:
 そうですね、よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。年度替わりには社会保険料率の変更に特に注意が必要ですが、来年度は変更が少なくなりました。健康保険組合に加入の企業では、個別に保険料率の変更についてご確認ください。


参考リンク
協会けんぽ「令和3年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r3/20205/
協会けんぽ「令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r03/r3ryougakuhyou3gatukara/
厚生労働省「令和3年度の雇用保険料率について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000739455.pdf
厚生労働省「第143回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126980.html
厚生労働省「第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15760.html
(宮武貴美)