令和3年度地方労働行政運営方針が公表されています
厚生労働省は毎年、地方労働行政運営方針を策定していますが、先日、その令和3年度版が公表されました。各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。よって、今後の労働行政の方向性を知る意味でも、目を通しておきたい資料となります。
令和3年度地方労働行政運営方針の概要は以下のとおりとなっています。
1 ウィズ・ポストコロナ時代の雇用機会の確保
(1)雇用の維持・継続に向けた支援
新型コロナウイルス感染症の影響等により休業を余儀なくされた労働者の雇用の維持・継続のため、雇用調整助成金により雇用維持に取り組む事業主を支援するとともに、産業雇用安定助成金により、出向元と出向先の企業を支援し、在籍型出向を活用した雇用維持を促進する。
(2)業種・地域・職種を越えた再就職等の促進
新型コロナウイルス感染症の影響等による求職者のニーズの多様化に対応するため、ハローワークに新たに専門の相談員を配置する等により、業種、地域、職種を越えた再就職等の支援を行う。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた就労経験のない職業に就くことを希望する者を、一定期間試行雇用する事業主の賃金の一部を助成(トライアル雇用助成金)する。
(3)非正規雇用労働者の再就職支援
非正規雇用労働者等の早期再就職を支援するため、ハローワークに専門の相談員を配置し、担当者制による求職者の個々の状況に応じた体系的かつ計画的な就職支援の強化を図る。また、求職者等に向けた企業の職場情報の提供を行う職場情報総合サイト(しょくばらぼ)や職業の様々な情報が手軽に入手できる職業情報提供サイト(日本版 O-NET)を活用し、求人・求職の効果的なマッチングを図る。
(4)女性活躍・男性の育児休業取得等の推進
不妊治療のための休暇制度・両立支援制度の利用促進に取り組む中小企業事業主に対する助成金の利用を促進し、不妊治療を受けやすい職場環境の整備を推進する。また、女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が 101 人以上に拡大されることを踏まえ、中小企業事業主に対する女性活躍推進アドバイザーによる個別支援等を行う。さらに、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設等を内容とする、育児・介護休業法の改正法案を今通常国会へ提出しており、改正法案が成立した際には労使団体等と連携して改正内容の周知に取り組む。
2 ウィズコロナ時代に対応した労働環境の整備、生産性向上の推進
(1)「新たな日常」の下で柔軟な働き方がしやすい環境整備
適正な労務環境下における良質なテレワークの普及促進を図るため、テレワーク相談センターによる働き方改革推進支援センターと連携した個別相談対応やセミナーの開催等により、テレワークを実施する中小企業への支援を行う。また、良質なテレワークを導入・実施し、人材確保や雇用管理改善の観点から効果をあげた事業主への支援(人材確保等支援助成金の支給)を行う。
(2)ウィズコロナ時代に安全で健康に働くことができる職場づくり
職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、「取組の5つのポイント」やチェックリスト等を活用した職場における感染防止対策の取組を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症に係る労災補償については、迅速かつ的確な調査及び決定を行う。
(3)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に向けて、働き方改革推進支援センターによるワンストップ窓口において、労務管理等の専門家による個別訪問支援等に加え、新たに業種別団体等に対し専門家チームによる支援を実施する。また、賃金引上げや非正規雇用労働者のキャリアアップを図るため、各種助成金の活用も含めた支援を行う。
l参考リンク
厚生労働省「「令和3年度地方労働行政運営方針」の策定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17792.html
(大津章敬)