国家公務員の定年が2023年度から順次引き上げられる予定です

 新型コロナの変異株による感染拡大が心配な大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長
 おはようございます。大熊さん、また新型コロナの感染が拡大していますね。
大熊社労士
 大阪を中心に急速に拡大していて、今後、経済に与える影響も大きくなるかも知れませんね。テレワークをやめてしまった企業も少なくありませんが、再度の対応が求められそうです。
服部社長服部社長
 そうですね。当社でも年度末の繁忙が明けましたので、対策を取りたいと思っていたところです。従業員も不安に思っているでしょうからね。
大熊社労士
 そうでしたか。可能であればそれが良いと思います。さて、今日は法改正のお話をしたいと思います。国家公務員の定年引上げを定める法案が国会に提出されました。
宮田部長宮田部長
 4月に法改正があって、70歳までの就業機会を確保する努力義務が始まったばかりですよね?今度は定年引上げなのですか?
大熊社労士
 きちんとチェックされていますね。今回の定年引上げの話は公務員であって、民間企業は関係ありません。よって60歳定年のままでも当面は大丈夫ですよ。さてその内容ですが、まずは2023年度に61歳に引上げられます。その後、2年ごとに1歳ずつ年齢が引き上げられ、最終的には2031年度以降に65歳定年となります。
福島照美福島さん
 段階的に引き上げが行われるのですね。最終的に65歳定年となるのはいまから10年後ということですね。長い話になりますね。でもこの間に民間企業の定年引上げも議論されるのでしょうね。
大熊社労士
 そうですね。民間企業の定年引上げについてはまだ具体的な話はありませんが、どこかのタイミングで議論されるのだと思います。さて、今回の国家公務員の定年引上げですが、同時にいくつかの措置も導入されます。その一つが、役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)の導入です。原則として60歳到達の年度末のタイミングで役職定年となります。そして、給与についても見直しが行われます。具体的には、当分の間、職員の俸給月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日以後、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とするとしています。
服部社長
 7割ですか。これは民間企業にも一定の影響があるかも知れませんね。
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。定年後の処遇については〇割を支給しなければならないということはありませんが、均等処遇均衡処遇の観点から一定の配慮が求められます。現実的には意識すべき数字になってくるのかも知れませんね。また、これに伴い、政府は、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、国家公務員の給与制度について、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げ完成の前(2033年3月31日まで)に所要の措置を順次講ずることなど、人事制度の見直しも予定されています。
福島さん
 これも影響がありそうですね。普通に考えれば、年功的な賃金カーブを抑制して、その半面、60歳以降の賃金減額を小さくするということになりますよね?
大熊社労士
 そうだと思います。公布後速やかに評語の区分など人事評価について検討を行い、施行日までに所要の措置を講ずるとしていますので、より人事評価結果を処遇に反映させる仕組みになっていくのでしょう。ちなみに、60歳に達した日以後定年前に退職した職員については本人の希望により、短時間勤務の官職に採用(任期は65歳まで)することができる制度も設けられるようです。
服部社長
 大きな改革が行われるのですね。まずは公務員が先行することになりますが、これにより65歳定年に向けた社会的な雰囲気も醸成され、民間企業でもその動きが強まるかも知れませんね。
大熊社労士
 そうですね。今後、高齢者雇用は人事管理の大テーマになっていきます。継続的に対応を議論していきましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は公務員の定年引上げについて取り上げました。この法案は1年前の通常国会に提出されながらも、検察庁の定年引上げ問題で廃案になり、再度、今国会に提出されたものです。そのため、施行も当初より1年遅れとなっています。直接的には公務員が対象となりますが、その内容は民間企業にも大きな影響を与えることになると予想されます。


参考リンク
内閣官房「第204回 通常国会」
https://www.cas.go.jp/jp/houan/204.html
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
https://www.mhlw.go.jp/…/topics/tp120903-1_00001.html

(大津章敬)