新型コロナワクチン接種後に高確率で発生する発熱・頭痛などの副反応への職場としての対応
新型コロナウイルスのワクチン接種のスケジュールが徐々に見えつつある状態となっています。ワクチン接種に関しては副反応を心配する声が少なくありませんが、厚生労働省の資料を見ると、接種部位の疼痛の頻度が高く、また2回目接種後の37.5℃以上の発熱、頭痛、全身倦怠感がかなり高い確率で発生しているようです。以下では、2021年4月23日に行われた厚生労働省検討部会の資料から、副反応の発生状況を確認すると共に、その労務管理面での対応について見ていきたいと思います。
厚生労働省の検討部会の中で示された「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)「健康観察日誌集計の中間報告(4)」によると、接種部位の疼痛は1回目接種後・2回目接種後共に90%以上の高い値となっています。そして、実際の就業に大きな影響が出ると予想される37.5度以上の発熱については、1回目接種後は3.3%とインフルエンザワクチンと大きな差はありませんが、2回目接種後については38.0%(38度以上も21.2%)と高い値を示しています。なお、発熱に関して年代別に見ると、20代がもっとも高い値となっており、年代が上がるにつれ減少する傾向が見られます。
頭痛についても1回目接種後は21.2%であるのに対し、2回目接種後は53.6%。倦怠感も1回目接種後が23.2%であるのに対し、2回目接種後は69.4%となるなど、いずれも2回目接種後に就業が難しい副反応が高確率で発生しています。
今後、初夏にも一般の接種が始まるとの報道が見られるようになっていますが、ワクチンの接種日とその翌日には勤務が難しい従業員が一定数発生することを想定し、接種日の調整を行うと共に、有給休暇の取得などの方針を早めに検討し、社内に周知しておくことが求められます。
なお、一部の会社では、特別休暇制度の整備も進められています。こうした状況はネットで検索することで複数出てきますので、参考にされてはいかがでしょうか?
参考リンク
厚生労働省「第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年4月23日)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18196.html
(大津章敬)