約半数の従業員が希望する兼業・副業、収入不安の高さと比例する実施意向

 兼業・副業は、働き方改革実行計画の中にも盛り込まれ、ここ数年、多くの企業でその制度整備が進められていますが、ここに来て、従業員の実施意向も高まっています。そこで本日はその現状を、日本生産性本部の「第5回 働く人の意識調査」から見てみることにしましょう。なお、本調査は、2021年4月12日~13日に、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者1,100名を対象にインターネットを通じて行われたものです。

 これによれば、兼業・副業の実施意向は以下のような状況となっています。
現在、兼業や副業を行っている 9.9%
将来的には行ってみたい 38.9%
兼業・副業を行う気はない 51.2%

 このような約半数が、既に兼業・副業を行っているか、将来的には行ってみたいと、兼業・副業について前向きにとらえていることが分かります。また、今後の収入不安別にその実施意向を見てみると、「かなり不安を感じる」層の63.5%が、既に兼業・副業を行っているが、将来的には行ってみたいと回答する一方、「全く不安を感じない」層は23.0%に止まっており、、その回答割合は不安の程度の高まりと比例しています。

 兼業・副業の解禁に当たっては、政府や企業サイドからは、社内では得られない知識・スキル・人脈の獲得による事業機会の獲得や従業員の主体的なキャリア形成を期待する声が聞かれますが、現実には、収入増を目的とした兼業・副業が多いと予想されます。この状況からは労働時間管理や健康管理の問題の拡大が懸念されます。


参考リンク
日本生産性本部「第5回 働く人の意識調査」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005218.html

(大津章敬)