骨太の方針2021原案に見る働き方改革フェーズⅡの内容

 先週水曜日(2021年6月9日)に開催された令和3年第8回経済財政諮問会議において、いわゆる「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2021)」の原案が示されました。本日はこの中から、「フェーズⅡの働き方改革、企業組織の変革」という箇所を引用し、ご紹介しましょう。

  • 感染症の影響からテレワークの拡大などの変化を後戻りさせず、働き方改革を加速させる。「新たな日常」の象徴であるテレワークについては、ワンストップ相談窓口の設置等、企業における導入を支援するとともに、ガイドラインの普及に取り組む。
  • 労働時間削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する。
  • ジョブ型正社員の更なる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組む。
  • 裁量労働制について、実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行う。
  • 兼業・副業の普及・促進のため、ガイドラインの周知、取組事例の横展開等に取り組む。
  • 選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。
  • また、フリーランスについて、ガイドラインを踏まえ、関係法令の適切な適用等を行うとともに、事業者との取引について書面での契約のルール化などを検討する。
  • これらの取組により、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働ける環境を整備する。あわせて公的職業訓練における在職者の訓練の推進、教育訓練休暇の導入促進等を含め、働きながら学べる仕組みを抜本的に見直すとともに、周知を徹底することにより、その活用を図る。
  • また、民間求人メディア等についてマッチング機能の質を高めるためのルール整備やハローワークとの情報共有の仕組みの構築に取り組む。
  • コーポレートガバナンス改革を進め、我が国企業の価値を高めていく。
  • 女性、外国人、中途採用者の管理職への登用について測定可能な目標の開示を促進する。トップ経営者の多様性を確保し、若者を抜擢し、転職・起業を応援するなど、企業組織・企業文化の変革を働きかける。
  • 国家公務員について、能力・実績主義の人事管理を徹底し、民間人材の活用を含む適材適所の人材配置を行う。業務効率化・デジタル化及びマネジメント改革を徹底し、長時間労働の是正につなげるとともに、定年引上げに当たり、各年齢層の職員の能力発揮につながる業務分担の在り方等に係る方針を本年度末までに策定し、働き方改革を推進する。

 この中で印象的なのは「労働時間削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する」という部分でしょう。絶対的上限規制などの労働時間制度改革を働き方改革のフェーズⅠと位置付けた上で、ジョブ型への雇用形態転換をフェーズⅡとしています。これは労働時間制度改革よりも更に影響が大きなテーマとなり、具体的にどのような政策が打ち出されるのかには注目をしていきたいところです。

 その他、キーワードを拾っていくと「テレワークの普及」「裁量労働の拡大」「副業・兼業の普及・促進」「選択的週休3日制度」「フリーランスの保護」「働きながら学べる仕組み」「求人マッチング機能の強化」「コープレートガバナンス改革」「多様な人材の活用」「国家公務員の雇用改革」といったようにかなり幅広いテーマが設定されています。まだまだ働き方改革は継続していきます。


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2021年6月11日「骨太の方針2021原案に見る今年度の最低賃金引上げの方向性」
https://roumu.com/archives/104288.html

参考リンク
内閣府「令和3年第8回経済財政諮問会議」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2021/0609/agenda.html

(大津章敬)