改定過労死認定基準報告書(案)が注目する1日5~6時間の睡眠の重要性
今朝の日本経済新聞にも大きな記事が掲載されていましたが、昨日、第12回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」が開催され、「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」が示されました。
この報告書(案)は参考リンクで見ることができますが、その中で注目なのが短時間睡眠と長時間労働、そして発症との関連性に関する指摘です。以下、引用します。
そのなかでも、疲労の蓄積をもたらす要因として睡眠不足は 深く関わっているといえ、本検討会は、現時点の疫学調査の結果を踏まえても、引き続き、1日5~6時間程度の睡眠が確保できない状態が継続していた場合には、そのような短時間睡眠となる長時間労働( 業務 )と発症との関連性が強いと評価できるものと判断する。これは、前記 イ の睡眠時間と脳・心臓疾患の発症等との関係についての疫学調査の結果だけでなく、前記 ウ の 労働時間と脳・心臓疾患の発症等との関係についての疫学調査の結果も一部重なる部分となる。前記エ のとおり、1日6時間程度の睡眠が確保できない状態 が1か 月継続した場合として は、おおむね 80 時間を超える時間外労働が想定され 、 1日5時間程度の睡眠が確保できない状態が1か月継続した 場合として は、おおむね 100 時間 を超える時間外労働が想定される。
(中略)
加えて、労災保険制度においては、業務に内在する危険を判断するものであることから、労働者の一日の生活時間のうち、労働時間・拘束時間以外の睡眠時間や余暇時間についてその内容を直接評価の対象とすることは適切でないが、長時間労働が 脳・心臓疾患に影響を及ぼす理由 について前記①の睡眠不足だけでなく、②の睡眠以外の休息等の制限、③の労働時間の長さそれ自体、④の労働時間以外の負荷要因へのばく露の程度が考えられることを 踏まえ、1か月 おおむね 45 時間を超える 時間外労働時間が長くなるほど 業務と発症との関連性が徐々に強まる ものであるから、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮し 、 業務の過重性の評価を適切に行う 必要があるものである。
これまでの過労死認定基準においても労働時間以外の負荷要素は判断基準に加えられていましたが、実務的には80時間という数字が大きなポイントとなっていました。今後は睡眠時間やインターバルなどの要素も重視される傾向が強まっていくのでしょう。まずは正式な認定基準の改定を待ちたいと思います。
参考リンク
第12回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19408.html
(大津章敬)