労働経済動向調査に見る「労働力不足」の深刻化

 新型コロナの感染拡大により、我が国の雇用にも大きな影響が発生し、有効求人倍率も一時大幅に低下しました。しかし、リーマンショックのときのような落ち込みにはならず、ここに来て回復の傾向が鮮明となってきています。

 厚生労働省の「労働経済動向調査(令和3年5月)」の中から労働者過不足判断 D.I. (労働者数について、調査日現在の状況で「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値)を見てみると、図表のグラフのように昨年夏には回復に転じており、今回公表された令和3年5月1日現在のデータでは、以下のように正社員、パートタイマー共に大幅な不足という結果になっています。
正社員等労働者 プラス 28 ポイント(40 期連続で不足超過)
パートタイム労働者 プラス 20 ポイント(47 期連続で不足超過)

 正社員等労働者では、特に「建設業」、「医療,福祉」、「運輸業,郵便業」、「情報通信業」で、パートタイム労働者では、「サービス業(他に分類されないもの)」、「卸売業,小売業」、「生活関連サービス業,娯楽業」などで人手不足感が高いという結果となっています。

 今後、ワクチンの接種が進むことで欧米のように経済の急回復が予想されます。労働力人口の減少という我が国の構造的な課題も相俟って、再び深刻な人材確保難のじだいがやってくることになりますので、改めて安定的な人材の採用・定着・育成が図られるような人事労務管理を進めていきましょう。


参考リンク
厚生労働省「労働経済動向調査(令和3年5月)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2105/

(大津章敬)