メンタルヘルス不調で1ヶ月以上の休業している従業員がいる企業割合は9.2%
先日、厚生労働省から「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表されました。この調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料および労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として、周期的にテーマを変えて調査が行われています。
今回の調査における事業所に対する項目は、メンタルヘルス対策に関する事項、受動喫煙防止対策に関する事項、長時間労働者に対する取組に関する事項等の5つがありますが、そのうちメンタルヘルス対策に関する事項を確認しておきます。
1.メンタルヘルス不調による休業者等
過去1年間(2019年11月1日から2020年10月31日)にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は 9.2%となっています。このうち、連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は 7.8%、退職した労働者がいた事業所の割合は 3.7%です。
2.メンタルヘルス対策への取組状況
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は 61.4%となっており、2018年の調査より2.2%上昇する結果となりました。具体的な取組内容(複数回答)では、多い順に以下の通りとなっています。
・労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック) 62.7%
・職場環境等の評価及び改善 55.5%
・メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施 53.8%
・メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備 50.7%
3.ストレスチェック結果の活用状況
ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は78.6%であり、その分析結果を活用した事業所の割合は 79.6%となっています。
ストレスチェックは従業員自身のセルフケアに役立てる目的がありますが、集団ごとの分析により企業における課題を確認し、対策を打つきっかけになるかもしれません。メンタルヘルス不調者が大きく減少していない状況にはあることから、企業としては継続的に対策を講じていく必要があります。
参考リンク
厚生労働省「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r02-46-50b.html
(宮武貴美)