8月1日から「業務改善助成金」の特例的な要件が緩和・拡充に

 中小企業の生産性向上を支援するために、厚生労働省は事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを等を行った企業に、「業務改善助成金」として助成金を支給しています。

 具体的な支給の要件は、事業場内最低賃金の一定額の引き上げの他、生産性向上のための設備投資など(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行った場合に、その費用の一部が助成されるというものです。

 今回、新型コロナウイルス感染症の影響により、特に業況が厳しい中小企業・小規模事業者に対して、2021年8月1日より、対象人数の拡大や助成上限額の引き上げ、及び助成対象となる設備投資の範囲の拡大や、45円コースの新設・同一年度内の複数回申請を可能にするなど、使い勝手の向上が図られることが、厚生労働省から発表されました。

 発表資料によると、特例的な要件緩和・拡充の内容は、以下のとおりです。
 
1.特に業況の厳しい事業主※への特例 (※前年又は前々年比較で売上等▲30%減)
①対象人数の拡大・助成上限額引上げ
 現行では、賃金引上げ対象人数について、最大「7人以上」としているところ、最大「10人以上」のメニューを増設し、助成上限額を450万円から600万円へ拡大
 
②設備投資の範囲の拡充
 現行では自動車(特種用途自動車を除く)やパソコン等の購入は対象外。コロナ禍の影響を受ける中にあっても、賃金引上げ額を30円以上とする場合には、以下の通り、生産性向上に資する自動車やパソコン等を補助対象に拡充
 ・ 乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車
 ・ パソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入)

2.全事業主を対象とする特例
①45円コースの新設
 現行で最も活用されている30円と60円の中間に45円コースを増設。選択肢を増やすことで使い勝手が向上。

② 同一年度内の複数回申請
 現行では、同一年度内の複数回受給を認めていないが、年度当初に助成金を活用し、賃上げを実施した事業場であっても、10月に最賃の引上げが行われ、再度賃上げを行うケースが想定されるため、年度内の複数回申請を可能とする

 

 申請期限は2022年1月31日となっていますが、予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。助成金の活用を検討される企業は以下のリーフレットを確認されるとよいでしょう。

↓リーフレット「令和3年8月から「業務改善助成金」が使いやすくなります」
https://roumu.com/archives/108294.html


参考リンク
厚生労働省「業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

 

(菊地利永子)