2025年までの取組み等が示された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」

 厚生労働省は、2020年11月から2021年5月にかけて開催した「過労死等防止対策推進協議会」により、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」という。)の見直しを実施していました。先月末、この変更について、閣議決定され公表されました。

 そもそもこの大綱は、過労死等防止対策推進法に基づき、おおむね今後3年間における取組みについて定められるものであり、見直し後の新たな大綱に基づき、厚生労働省が、関係省庁等と連携しながら、過労死ゼロを目指し、健康に働き続けることのできる充実した社会の実現に向けて、さまざまな対策を進めていくものです。

 新たな大綱に定められた過労死等防止対策の主な取組み等は以下のとおりとなります。

1.新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対応や働き方の変化を踏まえた過労死等防止対策の取組みを進めること。
2. 新しい働き方であるテレワーク、副業・兼業、フリーランスについて、ガイドラインの周知などにより、過重労働にならないよう企業を啓発していくこと。
3.調査研究について、重点業種等(※)に加え、新しい働き方や社会情勢の変化に応じた対象を追加すること。また、これまでの調査研究成果を活用した過労死等防止対策のチェックリストを開発すること。
※自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界
4.過労死で親を亡くした遺児の健全な成長をサポートするための相談対応を実施すること。
5. 大綱の数値目標で、変更前の大綱に定められた週労働時間60時間以上の雇用者の割合や勤務間インターバル制度の周知、導入に関する目標などを更新する。なお、公務員についても目標の趣旨を踏まえて必要な取組みを推進すること。

 5について2025年までに、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を2025年までに5%以下にすること、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上にすること等が挙げられています。

 企業としても、過労死等の防止のための対策に取組むことができているのかを再確認したいものです。


参考リンク
厚生労働省「「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20085.html
(宮武貴美)