厚生労働省の調査からみる離職者の離職理由

 昨日、厚生労働省から「令和2年雇用動向調査結果の概要」が公開されました。この調査は、主要産業における入職・離職及び未充足求人の状況並びに入職者・離職者に係る個人別の属性及び入職・離職に関する事情を調査し、雇用労働力の産業、規模、職業及び地域間の移動の実態を明らかにすることを目的に実施されたものです。調査項目は多数ありますが、その中から転職入職者が前職を辞めた理由別割合をとり上げます。

 2020年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、「その他の理由(出向等を含む)」が多いのですが、これを除くと、各区分におけるもっとも高い離職理由は以下のようになっています。

[男性]
19歳以下 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 22.7%
20~24歳 給料等収入が少なかった 13.2%
25~29歳 職場の人間関係が好ましくなかった 15.2%
30~34歳 職場の人間関係が好ましくなかった 10.4%
35~39歳 会社の将来が不安だった 12.8%
40~44歳 給料等収入が少なかった 10.5%
45~49歳 給料等収入が少なかった 15.9%
50~54歳 会社都合 18.6%
55~59歳 会社都合 12.7%
60~64歳 定年・契約期間の満了 59.4%
65歳以上 定年・契約期間の満了 55.7%

[女性]
19歳以下 職場の人間関係が好ましくなかった 19.7%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 21.0%
25~29歳 職場の人間関係が好ましくなかった 14.6%
30~34歳 職場の人間関係が好ましくなかった 11.6%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった 13.0%
40~44歳 職場の人間関係が好ましくなかった 18.4%
45~49歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 15.0%
50~54歳 定年・契約期間の満了 14.7%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 13.3%
     労働時間、休日等の労働条件が悪かった 13.3%
60~64歳 定年・契約期間の満了 46.1%
65歳以上 定年・契約期間の満了 27.2%

 調査では「仕事の内容に興味を持てなかった」、「能力・個性・資格を生かせなかった」、「会社将来が不安だった」という項目がありますが、前2項目については、性別・区分(世代)に関わらず10%以上となるものはなく、就きたい職業に就くことができている、または、より労働条件や職場環境を重視して就職する傾向にあることが想像されます。


参考リンク
厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/index.html
(宮武貴美)