1年後に迫る社会保険適用拡大と従業員数101人以上の判断基準

 昨年6月(2020年6月)に施行された年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金制度改正法)が公布され、2022年10月から従業員数101人以上の規模の事業所について、社会保険の適用拡大の対象となります

 社会保険の適用拡大では、週労働時間が通常の労働者の4分の3以上の短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入していたものが、以下の4つの基準をすべて満たしたときに、社会保険に加入することになります。
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・雇用期間が1年以上見込まれること
・賃金の月額が88,000円以上であること
・学生でないこと

 この際の「従業員数101人以上の規模の事業所」の判断基準は、以下の通りとなっています。
[従業員数の定義]
適用拡大以前の通常の被保険者の人数を指し、それ以外の短時間労働者を含まない。
[従業員数のカウント]
月ごとに従業員数をカウントし、直近12ヶ月のうち6ヶ月で基準を上回ったら適用対象となる。
[事業所の考え方]
従業員数のカウントは、法人なら同一の法人番号を有する全事業所単位、個人事業主なら個々の事業所単位で行う。

 特に確認しておきたいポイントは2022年10月時点のみで判断するのではない点です。また、一度適用対象となった場合、被保険者の4分の3の同意で対象外となる手続きをしなければ、従業員数が基準を下回っても引き続き適用対象となります。特に従業員数が100人前後の事業所では、今後の人材の採用方針も含めて、社会保険料の負担額の増加等も確認しておきたいものです。


参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html
(宮武貴美)