43.0%の社員が【仕事能力の向上を実感したことが無い】という現実

 最近の採用活動の中で学生など求職者の多くから、社内での教育制度についての質問が寄せられます。それだけ、仕事を通じた能力向上・成長への希望が強いということになるのだと思いますが、実際に働いているみなさんは、自らの能力向上についてどのような実感を持っているのでしょうか?今回は、日本生産性本部の「第7回 働く人の意識調査」の内容を見てみたいと思います。この調査は、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者1,100名を対象にインターネットを通じて実施されたものとなります。

 「仕事能力向上を実感したきっかけ」という質問への回答状況は以下のようになっています。
43.0% 仕事能力の向上を実感したことが無い
18.6% 従来よりレベルの高い業務を担当した
17.4% 仕事で学んだことを実際に活用できた
16.4% 従来とは分野の異なる業務を担当した
11.0% 昇進や昇格を経験した
10.5% 従来と違うツール等を使うようになった
10.4% 成果・やり方の具体的意見をもらった
10.1% 優れた上司や先輩等と仕事をした
6.9% 仕事の心構えについて助言を受けた
6.9% 職場や外部の人を指導した
5.0% 仕事で大きな失敗をした
1.8% 海外での勤務を経験した
0.8% その他

 このように断トツの1位は「仕事能力の向上を実感したことがない」という回答で43.0%にも上ることが明らかになりました。自分自身の成長というのはなかなか分かりにくいものということを差し引いても、これは非常に悩ましい結果であると言わざるを得ません。成長実感のない仕事というのは、どうしても惰性に流れがちで、高いモチベーションを持って働いている状態とは言えないでしょう。組織の活性化を考えれば、この点の改善は急務であると言えます。

 一方、成長実感を得たきっかけの上位は、「従来よりレベルの高い業務を担当した」、「仕事で学んだことを実際に活用できた」、「従来とは分野の異なる業務を担当した」となっており、こういった経験を如何にさせていくのかが実務におけるポイントであると言えます。社員のキャリアを考えることは、その定着や能力発揮にも大きな効果が見込まれます。常に仕事の与え方に注意を払い、活気のある職場づくりを行っていきたいものです。


参考リンク
日本生産性本部「第7回 働く人の意識調査」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005529.html

(大津章敬)