定年の延長後に延長前の定年に達したときに退職金を支払う場合の所得税の取扱い
従業員に給与や賞与、退職金を支払うときには所得税の計算を行い、必要に応じ源泉徴収をしてから支払うことになります。この際、給与や賞与は給与所得として、退職金は退職所得として取り扱われることになりますが、今回、国税庁の文書事回答事例として「定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について」がのホームページで公開されました。
この内容は、定年退職日を60歳到達月の月末としていたところ、60歳から65歳までの間で定年年齢を選択できる制度を導入した後に、選択定年導入前の従業員が選択定年年齢にかかわらず、退職金であった一時金を受け取るときの所得区分について照会されたものです。
この事例は、一時金を支払うことになった経緯や、改正後の定年制度といった前提となる事実関係を踏まえた結果、退職所得として扱って差し支えないものと判断がなされています。同様に定年延長を検討する中での退職金の所得税の区分に迷う際には参考になる事例かと思われます。全文について、参考リンクからぜひ、ご確認ください。
今後、定年年齢の引上げに伴う退職金制度の見直しや、現行規定との整合性を取る必要性が出てくることが予想されます。制度見直しのときにはこのような税務上の取扱いも事前に確認が必要になるのでしょう。
参考リンク
国税庁「定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/gensenshotoku/211111/index.htm
(宮武貴美)