2022年10月より雇用保険料率引上げの方向 雇用保険法等改正案の要綱

 来年度の雇用保険制度の改正に関し、各種メディアで報道でされてきました。厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会での審議も進んでおり、厚生労働省のホームページでは「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」(以下、「法律案要綱」という)が資料として公開されました。この法律案要綱から注目されている内容をいくつかピックアップしましょう。

1.起業した受給資格者等の受給期間の特例
 受給資格者であって、基本手当の受給資格に係る離職の日後に事業を開始した者等が、公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には、事業の実施期間(上限あり)は、受給期間に算入しない。

2.特定理由離職者の取扱い
 特定理由離職者を特定受給資格者とみなして基本手当の支給している暫定措置を2025年3月31日以前の離職者まで適用する。

3.雇用保険率
 2022年4月1日から9月30日までの雇用保険率については、9.5/1,000(うち失業等給付に係る率は2/1,000)(農林水産業・清酒製造業は11.5/1,000(同4/1,000)、建設業は12.5/1,000(同4/1,000))とし、2022年10月1日から2023年3月31日までの雇用保険率については、13.5/1,000(うち失業等給付に係る率は6/1,000)(農林水産業・清酒製造業は15.5/1,000(同8/1,000)、建設業は16.5/1,000(同8/1,000))とする。

 特に3については、年度の途中に雇用保険率が引上げになるというイレギュラーな取扱いになります。また、従業員の負担も大きくなります。改正法案は今後、通常国会に提出されることになりますので、その動向を確認していく必要があります。


参考リンク
厚生労働省「第167回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23284.html
厚生労働省「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107715_00005.html
(宮武貴美)