63%の企業が「70歳までの就業機会確保努力義務」に対応と回答

 2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会確保が努力義務とされましたが、企業の対応状況はどうなのでしょうか?そこで今回は、マイナビの「企業人材ニーズ調査2021年版(2022.01.13)」からその状況について見ていくこととします。なお、この調査の対象は以下のようになっており、回答数は2,036名となっています。
企業分類/上場 601名・非上場 1,435名|製造 598名・非製造1,438名
企業規模/300人未満 1,076名・300~999人 359名・1,000人以上 601名

 「2021年4月に施行された「70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)」の努力義務に関して、どのような対応を行ったか」という質問に対する回答は以下のようになっています。
11.9% 70歳までの定年引上げ
19.8% 70歳までの継続雇用制度の導入(自社)
4.4% 70歳までの継続雇用制度の導入(特殊関係事業主・他の事業主)
5.6% 定年廃止
17.3% 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
4.1% 70歳まで継続的に事業主が実施・委託・出資する社会貢献事業jに従事できる制度の導入
36.8% いずれの対応も行わない予定

 「いずれの対応も行わない予定」は36.8%に止まっており、多くの企業が努力義務にも関わらず、一定の対応を行ったという結果になっています。もっとも対応として多いのは、自社における70歳までの継続雇用制度の導入で19.8%ですが、それに次いで「70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」が17.3%もあることは驚きです。これは制度の導入を聞いている設問であり、実際に業務委託契約で働く高齢者が急増しているということではありませんが、高齢者の就業が急速に進み、更には多様化する方向が見えてきます。

 もっとも企業の現場を見ている身としては、ここまで対応が進んでいるということ自体、感覚とズレていますので、実態についてはもう少し検証が必要ではないかとも感じています。


参考リンク
マイナビ「企業人材ニーズ調査2021年版(2022.01.13)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220113_21487/

(大津章敬)