アルバイト採用におけるリファラル制度の有効性と金銭インセンティブの効果

 近年、人材採用が難しくなる中で、リファラル制度(社員紹介制度)を導入する企業が多くなっています。今回は、マイナビの「アルバイト採用活動に関する企業調査(2021年)」から、アルバイト採用における同制度の有効性について見てみたいと思います。なお、この調査は、直近1年以内にアルバイト採用業務に携わった20~69歳の会社員(会社役員・自営業含む)を対象に実施されたもので、有効回答数は1,800名となっています。

 これによれば、アルバイトの人材不足と回答した企業は58.8%(前年比:+2.5pt)で、15業種中7業種が前年より人材不足となったとしています。現場感覚でも、コロナの状況の安定によりアルバイトの採用を増やす企業が増加し、結果的に十分な人数が採用できていない企業が多いと感じており、それがデータとしても実証されたように感じます。

 さて、今回の本題であるアルバイト採用におけるリファラル制度の実施状況ですが、「実施している」企業は59.5%、「現在は実施してないが今後検討している」企業は14.1%となり、同制度がかなり普及していることは分かります。また、リファラルが実際に「採用に繋がった」と回答した割合は69.2%となっています。

 その際、入社時の金銭インセンティブの支給有無で以下のように採用率に大きな差が出ていることも明らかになっています。
85.6% 入社承諾をもらい、入社が確定した段階でインセンティブを金銭で支給している
60.9% リファラル採用を導入しているが、インセンティブは支給していない

 この制度の導入においては、紹介者である既存社員だけでなく、紹介により入社した社員にもなんらかの祝い金を支給し、「友達を売った」というような感覚にならないような工夫も重要であるとされています。今後、ますます採用が難しくなることが予想されており、人材の安定的な確保は企業存続の絶対的な条件となっていきます。リファラルの効果的な運用も含め、採用手法の研究を進めていきましょう。


参考リンク
マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査(2021年)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220112_21418/

(大津章敬)